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水谷 舞の「合コン四季報」 第6回

合コンにはバスで! 困窮NECの誠実さ

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 さすがメーカー系系男子。NECの2人=N&E氏は、5分前に到着していたとのこと。しかも、「会社からバスで来ました。200円ですし」(N氏)と、ポツリ。――メイド・イン・ジャパンが世界を席巻していた頃は「この堅実さこそ、強さの秘密」と言われていたのでしょうが、今となっては寂しい懐事情を露呈しているにすぎません。

 挨拶代わりに「友達の元彼がNECなんですよ。確か川崎事業所」と振ると、「あそこもどんどん縮小してるよ」と、E氏。「というか、会社全体がシュリンク(縮小)してるんだよね。工場閉鎖や事業売却のニュースは、僕らも新聞で知ることがほとんど。次に危ないのは、BIGLOBEだね」と続けます。

 合コンなのに、世知辛い会話ばかり。こちらから、景気のいい話をするしかありません。もう一人の女子メンバーを紹介します。「私の後輩CAの"ミス成田"ちゃんです。私が2期のミス。彼女は6期。仲良くしてね」というと、N&E氏は眼鏡に手をやり、天然記念物でも見るように我々を凝視。「こんな機会、一生に一度あるかないかだなー」と感慨深げです。この純朴さこそがメーカーの魅力。水谷は、合コン市場では希少性の高いメーカー男子に、すっかり興味津々になり、「NECには、伝統的なコンパ芸とかないの?」と聞くと、「ないなー。合コン自体もないし。技術部門の人間なんか、絵に描いたようなアキバ系が多くて、生身の女性との会話は苦手。でも、自分の専門分野の質問を受けると、目を輝かせて答えてくれるよ」とN氏。「会社なのに趣味でプログラムつくっている奴がいて、画面をのぞかれないように段ボールをパーテーション代わりにしていたり。オイニーがきつい男の隣の女性は、空気清浄機を置いているよ」とE氏……合コン市場で見かけないはずです。

「そもそも社名が日本電気という堅さだからね(苦笑)。合コンでも営業でも、ごますりは得意じゃない。もっと汚らわしい部分もないとね。ソニーはそこらへんうまいよ」というN氏の言葉に、「電気で照らされているから、不正はできないですよね」と、おやじギャグで返す水谷。

 それにマジメに頷く2人……。そんな2人が、最高潮に盛り上がったのが、水谷が何げなくケータイをバッグから取り出したときです。

「おっ、折りたたみ式だね。その開閉部分にNECは特許を持ってたんだ。技術者のこだわりが強くてね」「××機能ある?」「ワンセグついてる?」「うお~、この部分のつくりが一緒だ!」と、はしゃぎだす2人。そんな彼らを挑発したくなり、「でもパソコンは、パナのLet's noteを愛用してます」と話すと、「うちのUltra Liteのほうが軽い。2グラムだけど」とN氏。そのアツさに水谷が思わず吹き出すと、「1グラム削るのにどれくらいしのぎを削っているか......それこそ技術力の結晶なんだよ」と猛反論。合コンでは、D社のように下ネタに食いつく代理店もある一方で、メカネタに食いつく会社もあるんだなと感心しきり。アナリストとして、大変勉強になりました。

 色気が皆無の合コンついでに、NECの野望についても聞くと、「海外での事業展開だね。欧米に日本人の職人魂、NECの技術力を再びアピールしたい。うちらは、安さだけが売りのHPやDELLとは違うんだ!」(N&E氏)。

 そう、今期は3000億円近くの赤字が見込まれるものの、日本が誇る技術力とAKIBAイズムで世界に再び日本を知らしめてください。

[合コンメンズ判定]★★★☆☆

合コンの場で、女性を前に、会社の窮状をペラペラ素直にしゃべってしまうあたり、裏表のない誠実な人柄がうかがえます。「給料は安いけど、仕事は楽しいよ」との言葉通り、子どものように目を輝かせて自社の技術についてしゃべるときの姿はピュアそのもの! デートはバスで、贅沢は厳禁!! 物足りなさを感じることは否めませんが、それでも、結婚したときには、サザエさん一家のような温かい家庭が築けそう。今後、金融市場も安定して、内需も復活し、リストラの危険性がなくなったら狙いたい銘柄ということで、今回は★3つを進呈します!!

[今月の合コン必勝服]
シャイでオクテの電気メーカー君には、ヒョウ柄でリードするのが効果的。派手な海外ブランドは封印して「アナタのお給料で慎ましく暮らせます」アピールを。

水谷 舞(みずたに・まい)
大学卒業後、日本航空入社。NY、パリ、ミラノ便など、国際線ビジネス、ファーストクラスを中心に約5年間乗務。現在はレポーター、女優業の傍ら、「合コンは最高のエンターテインメント」をモットーに、〝合コン総研アナリスト〟として活躍中。公式ブログ


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