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小原真史の「写真時評」

焼け跡のツーリズム(下)

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『LIVING HIROSHIMA』の中面より

 アメリカ占領下の1949年に出版された『LIVING HIROSHIMA』という写真集がある。広島県観光協会が企画・発行した英語の写真集で、制作は東方社の後身・文化社が依頼された。表紙にはウサギを抱いた少女と廃墟となった広島の街の写真がモンタージュされており、少女の上半身はキノコ雲の形で囲われている。

 デザインは文化社の原弘と多川精一が担当したようだが、今の感覚からすれば、少女と廃墟の組み合わせにいささか首をかしげたくなるような表紙だろう。写真は同社の木村伊兵衛や菊池俊吉、林重男、大木実らが撮影し、文章は中島健蔵と山室太柁雄が手がけた。いずれも旧東方社の面々だ。

『LIVING HIROSHIMA』に収録された写真は、以下の中から選ばれている。まず、原爆投下直後に企画された日本映画社の記録映画『広島・長崎における原子爆弾の影響』にスチルカメラマンとして同行した菊池と林らが撮影してきた写真、木村ら文化社のメンバーが広島を訪れて新たに撮り加えたもの、そして中国新聞社のストックなどから集められたものだ。原爆投下により焼失した広島城の写真などは、こうしたストックからの使用だろう(111ページ下)。

 もともとは、広島県観光協会所属の田中嗣三が責任者となり、広島の観光PRのために写真集『グラフ「ひろしま」』として企画されたもので、「生きている広島」というタイトルになったことからも知れるように、原爆投下による破壊を生き延び、復興に向かいつつある広島のポジティヴなイメージを発信することで、この地に観光客を呼び込む、というのが主な目的であった。

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