サイゾーpremium  > 連載  > 小原真史の「写真時評 ~モンタージュ 過去×現在~」  > 小原真史の「写真時評」/焼け跡のツーリズム(下)
連載
写真時評~モンタージュ 現在×過去~

焼け跡のツーリズム(下)

+お気に入りに追加
1810_P110-113_img001_520.jpg
『LIVING HIROSHIMA』の中面より

 アメリカ占領下の1949年に出版された『LIVING HIROSHIMA』という写真集がある。広島県観光協会が企画・発行した英語の写真集で、制作は東方社の後身・文化社が依頼された。表紙にはウサギを抱いた少女と廃墟となった広島の街の写真がモンタージュされており、少女の上半身はキノコ雲の形で囲われている。

 デザインは文化社の原弘と多川精一が担当したようだが、今の感覚からすれば、少女と廃墟の組み合わせにいささか首をかしげたくなるような表紙だろう。写真は同社の木村伊兵衛や菊池俊吉、林重男、大木実らが撮影し、文章は中島健蔵と山室太柁雄が手がけた。いずれも旧東方社の面々だ。

『LIVING HIROSHIMA』に収録された写真は、以下の中から選ばれている。まず、原爆投下直後に企画された日本映画社の記録映画『広島・長崎における原子爆弾の影響』にスチルカメラマンとして同行した菊池と林らが撮影してきた写真、木村ら文化社のメンバーが広島を訪れて新たに撮り加えたもの、そして中国新聞社のストックなどから集められたものだ。原爆投下により焼失した広島城の写真などは、こうしたストックからの使用だろう。

 もともとは、広島県観光協会所属の田中嗣三が責任者となり、広島の観光PRのために写真集『グラフ「ひろしま」』として企画されたもので、「生きている広島」というタイトルになったことからも知れるように、原爆投下による破壊を生き延び、復興に向かいつつある広島のポジティヴなイメージを発信することで、この地に観光客を呼び込む、というのが主な目的であった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年3月号

欲望の美人学

欲望の美人学
    • 【美人コンテンツ】炎上考現学
    • 複雑化する【ミスコン】批判の論点
    • 【ミス・ユニバース】の問題点
    • 【世界で最も美しい顔】の胡散臭さ
    • 【柳美稀】が魅せた美グラビア
    • 進化する【美ジネス】の最前線
    • 【整形大国・韓国】の顔採用事情
    • 【ブス作品】とルッキズムの関係
    • 傑作【ブス主人公】作品レビュー
    • 【スダンナユズユリー】がネオ・レディースに!
    • 【ディスニー・プリンセス】変遷の記録
    • 【キリスト教】の女性受容史
    • 【日本酒と美人】の意外な歴史
    • 知っておくべき【5大美人酒】
    • 【地域別美人言説】の謎を追う!
    • 【ジブリヒロイン】芸能界ドラフト会議

乃木坂46・斉藤優里のパジャマパーティ

乃木坂46・斉藤優里のパジャマパーティ
    • 乃木坂の太陽【斉藤優里】が登場!

NEWS SOURCE

    • 自民党と【創価学会】の不協和音
    • 【沢田研二】だけじゃない空席問題
    • 脆弱な日本の【サイバーセキュリティ】

インタビュー

    • 【是永瞳】大分から来た高身長ガール
    • 【六道寺】特攻服のママさんシンガー
    • 【ちぃたん☆】絶賛炎上中のゆるキャラ

連載

    • 【園都】サウナーなんです。
    • 【平嶋夏海】美尻アイドルの偏愛録
    • 【88rising】世界戦略の真実
    • 深キョン熱愛ショック!【恭子から俺は!!】
    • 世界中で議論される【AIと倫理】
    • 高須基仁/【エロ】の匂いを消すこの国に抗う
    • 映画【盆唄】に見る人々のたくましさ
    • 【ファーウェイ】創業者の素顔を追う
    • 【ブラック・クランズマン】に思うファンクとディスコの70年代
    • 町山智浩/【バイス】ブッシュを操る副大統領
    • 厚労省の【不正統計問題】と統計軽視の代償
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人/【嵐】の夜に
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 稲田豊史/希代のマーケター【西野カナ】
    • 【アッシュ×スラッシュ】実弟が聞くキワどい話
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • ニコタマに地ビールを!【ママ友】たちの挑戦
    • 伊藤文學/【新世代ゲイ雑誌】の価値観
    • 更科修一郎/幽霊、【サイコパス】に救われたい人々。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』