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『西国分寺哀の「大丈夫?マイ・フレンド」』【37】

選抜総選挙というシステムがモンスターを生み出した?――珠理奈に傷心(ハートブレイク)

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『松井珠理奈』

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6月16日「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」が開催された。見事1位を獲得したSKE48・松井珠理奈だが、その言動に「怖い」「いけすかない」といった声も。そんな中、AKB48・峯岸みなみの32位は、健闘した方なのかどうなのか、誰か教えてほしい。

 ついにAKB48というグループが、いや、選抜総選挙というシステムが、モンスターを生み出してしまった。今年の総選挙で念願の1位を獲得したSKE48・松井珠理奈その人である。

 私はテレビで見ていたのだが、なんかもう、終始怖かったよね。顔が。不安定だったよね。情緒が。

 17年の渡辺麻友の時も同じようなことを感じたのだが、正統派キャラの娘が1位を狙おうとすると、そのまじめな性格が災いしてか、どうしても鬼気迫る感じが出てしまう。要はマジすぎるのだ。

 いや、真剣勝負だからマジでいいのだが、こちらとしてはアイドルの娘たちがけなげに頑張る姿を見たいだけであって、マジはマジでも「マジ卍」くらいのポップなマジでいいのである。それを珠理奈ときたら「マジ卍」どころか「卍LINE」ぐらいの、もはや「マジつながり」じゃなくて「卍つながり」のマジさ加減でくるものだから、少々引いてしまったとこはある。なんなら、スピーチで文春砲を受けたことを告白したNGT48・中井りかのほうが余程ポップであった。

 ただまあ、これはこれで新しいスタイルを確立したのかもしれない。なんか全体的に「よくわかんないけど、珠理奈1位にしないといけないんだよね!?」という空気がなかっただろうか。人気とか実力とか、好きとか嫌いとか関係なく、なんなら別の娘が推しのファンですら「珠理奈1位にしないといけないんスよね!?」と言わざるをえない雰囲気があったように思う。「気を使わせるアイドル」の誕生。うっすらとだが「ああ、忖度ってこうやって働くのだな」と安倍晋三政権の一片を垣間見た気さえした。もはや国家レベルの影響力である。

 ここまでは、珠理奈の「マジ力」がなせる業であったのだが、どうもこれが行き過ぎたせいで「さくらたん騒動」につながったのではないだろうか。選挙後の囲み取材でHKT48・宮脇咲良の不在に対し「正直言います。全部話しますね。今まで隠してたこと。(選挙前の)コンサートで『10年桜』を歌いました。私は、さくらたんに『もっとちゃんと踊って』と言いました。『じゃないとAKBが終わるから』。それを言ったら、さくらたんは出れなくなっちゃいました。悲しいです。だから『ごめんね』って言いました」と発言。お前も選挙前のコンサートで過呼吸で倒れてたじゃないかというのはあるものの、この発言をもって「怖い」「何様だ」と批判するのは早計だ。

 こんなのは、優秀なキャリアウーマンがキャパを超えすぎて一時的におかしくなっているようなもので、一般社会ではよく見る光景だ。『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』の真矢みきを想像するとわかりやすい。想像できない人は、動画サービスの無料体験とかで観ればいいと思う。神経質な人間は、気力・体力共に限界を超えると、他者に対して攻撃的になってしまう。こういった人間の機微がわかっている者からすると、あの時の珠理奈を見て思うことは「怖い」ではなく「珠理奈、寝ろ!」である。「志村、後ろ!」ぐらいの心配度合いで。大抵、よく寝て疲れがとれれば、驚くほどにトゲはなくなる。元は気遣いのできる良い子だもの。おじさん知ってるから。

 こういうことを言うと、そこまでいたわる必要はないと言う人もいるだろう。だが、真矢みきですら自分で制御できないものを、21歳の小娘が、しかも相当なプレッシャーの中で制御できるわけないでしょうが! と神経質で寝不足気味な私などは攻撃的に反論したくなるのだ。

 とはいえ今回の件で、世間的にヒールのイメージがついてしまったことは否めない。だがこんな時、状況を一変させる魔法のワードが存在する。もし、来年の総選挙で2連覇が達成できた際のスピーチでは満を持して「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください!」と叫んでみてはどうだろう。言わずもがな第3回総選挙で前田敦子が放った名言であるが、今これが言えるのは松井珠理奈をおいてほかにいない。これは、パクリではなく、カバーだ! 今後、総選挙を続けていくうえで、ヒールとなった娘たちに受け継いでいけばいいのである。

 まあ、さすがにこれをもってアンチの人間が「許す」とまではいかないが、「お、おう!」ぐらいの雪解けのきっかけにはなるだろう。ただ、心配なのは、調子に乗った珠理奈が「AKBのことは嫌いでも、私は嫌いにならないでください!」と、おどけそうな気がしてならない。しかも、キンタロー。よりな言い方で。

 とかイジってたら珠理奈が長期休養を発表。だから言ったじゃん。

「珠理奈、寝ろ!」

 その後、真矢みきだって、踊るのスピンオフで良い奴として復活しているのだから。

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
来年の総選挙まで、この連載が続いていることを願う40代独身男性。編集長! 担当のことは嫌いでも、西国分寺は嫌いにならないでください!


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