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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

玉木宏を育てたのは辞めジュだった!? ジャニーズ退所者の隠れた革命児

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1807_tamaki.jpg『連続テレビ小説 『 あさが来た 』 玉木宏 白岡新次郎と生きた軌跡』(ワニブックス)

 イケメン俳優の1人、玉木宏(38)が女優の木南晴夏(32)との結婚を発表した。

一部のファンの間では「玉木ロス」と言われているが、結婚も芸能活動の一環との見方もできる。一概にイケメン俳優と一括りにしているが、玉木はジャニーズやコンテストなどから出てきた俳優とは違う。玉木は役者を夢見てオーディションを受けて落ち続ける日々を送っていたという。生活の為にコンビニでバイトするなど、まるで脇役のような苦労人だった。01年、映画「ウォーターボーイズ」に起用されて注目を浴び、ようやく頭角を表した。イケメンブームにも乗り玉木人気も急上昇したが、誤算もあった。テレビ関係者の話。

「若手のイケメン俳優と同じで、若い女性が好んで見るようなドラマばかりが増えた。玉木にアイドル意識は薄い。若い女性ファンだけが増えても俳優として成長がない。役者として成長するには幅広い層からの支持がないと将来的に不安になる」

 雨後の筍のように出て来るイケメン俳優の多くは「イケメンだから俳優になれた」。玉木は「俳優志望だった男がたまたまイケメンだけだった」と、意味合いは大きく違う。

 転機は3年前に出演したNHK朝ドラ「あさが来た」だった。波瑠演じる主人公の夫役を好演。「玉木っていいわねえ」と玉木をアイドルと思っていた朝ドラファンの中高年の主婦層から大きな支持を得て見直された。その後は、松本清張作品のドラマなど本格的な役者としての作品を選んで出演していた。今年の4月期のドラマ「あなたには帰る家がある」(TBS系)では不倫する夫役で注目度はさらにアップ。単なるイケメン俳優でないことを証明して見せた。女性人気に頼らなくてもいい。結婚にはもってこいのタイミングだった。結婚がも人気を左右することもない。結婚は実質、「脱・イケメン俳優」宣言だったとも言える。

 藤原竜也・小栗旬・妻夫木聡といった面々が結婚を機にイケメン俳優から本格的な俳優となったように、玉木も続いた。

「今後、映画界を背負う中堅どころの役者が手薄な状態になる。玉木らが年を重ねるうちにそうなりうるだけの資質はある。誰が将来のスター俳優になるかは、これからが本当の勝負です」(映画関係者)

 本格派の俳優としての新たな一歩を踏み出した玉木を支えてきた事務所社長にも注目したい。玉木が所属するのは「アオイコーポレーション」。本社は玉木の出身地である名古屋。東京本社が大半の芸能プロとしては珍しい存在。社長の名は葵てるよし氏(63)。葵氏はジャニーズ事務所の元アイドル。芸名は名古屋出身から「葵」とし、名のほうは「テルヨシ」とカタカナで表記した。73年に「かんじる10代」で歌手デビュー。ソロのアイドル歌手として売り出したが、さほど人気にはならず、76年にあっさりジャニーズ事務所を辞め引退していた。芸能関係者が振り返る。

「順風満帆に来ているように見えるジャニーズ事務所ですが、葵がいた時代は氷河期といわれるほど落ち込んでいた。郷ひろみが移籍して人気になり、対抗するようにソロのアイドルを出した。川崎麻世、豊川譲と並び葵もその1人でした。ただ、ソロだとインパクトは弱く人気も一過性に終わった。その苦い経験からジャニーズにとってソロ歌手はトラウマとなり、歌って踊るのはグループだけにした」

 葵は未練を持つことなく地元の名古屋に戻り、今度は芸能の裏方についた。

「名古屋も芸能人にとっては大きなマーケットになる街。そこで名古屋に来る芸能人の営業などを手掛けた。地元に顔が広いことと、元々、怖いもの知らずで、バイタリティーのある男。たちまち“名古屋に行ったら葵に頼れ”と言われるほどになりました。営業の仕事が順調だったこともあり余裕ができたのか、市内で玉木を見つけ声を掛けてスカウト。役者にした。名古屋が本拠地でアイドルではなく、役者の仕事ですから、ジャニーズとバッティングすることもなかった」(葵と旧知の芸能関係者)

 ジャニーズを辞めたタレントは「ジャニーズの無言の圧力で伸び悩む」というジンクスがある。唯一の成功者は司会業に付いた薬丸裕英、俳優になった本木雅弘ぐらいしかいないが、葵も別の形でジャニーズ出身の成功者である。「玉木をここまでの俳優にしたのも葵の手腕が大きい。今は小さな事務所ですが、玉木を看板にさらに俳優を育てて売る可能性を秘めている」という声も業界内では上がっている。

 玉木の陰に葵あり、である。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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