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哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」第53回

【哲学入門】「有意義性」とは、「有意義化のはたらきの関連全体」のことである。

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(写真/中山正羅)

『存在と時間』全3巻

マルティン・ハイデガー(原佑・渡邊二郎/訳)/中公クラシックス/1600円+税(Ⅰ巻・Ⅲ巻)、1750円+税(Ⅱ巻)
存在とは何か――ヨーロッパ哲学の課題であった存在論を新たに切り開き、ひとつのジャンルとして確立したマルティン・ハイデガーの主著。現代哲学に大きな影響と広がりをもたらした、20世紀でもっとも重要な哲学書のひとつ。


『存在と時間』より引用
つまり現存在は、おのれの存在と存在しうることとを、おのれの世界内存在に関しておのれに根源的に了解せしめるのである。目的であるものはなんらかの手段性を、手段性はなんらかの一定の用途性を、一定の用途性は適所をえさせることがそのもとでえられるなんらかの適用を、適用は適所性がそれでもってえられるなんらかの適具を、有意義化する。これらの諸関連は根源的な全体性としておたがいに結びつけられている。つまり、これらの諸関連がほかならぬこれらの諸関連であるのは、このような有意義化のはたらきとしてであって、この有意義化のはたらきのうちで現存在は、おのれ自身におのれの世界内存在を先行的に了解せしめるのである。こうした有意義化のはたらきの関連全体を、われわれは有意義性と名づける。

 前回に続いてハイデガー『存在と時間』の一節を読んでいきましょう。対象となっているのは「有意義性」についてハイデガーが論じている一節です。

「有意義性」とは何でしょうか。上の引用文の最後をみてください。そこには「有意義化のはたらきの関連全体を、われわれは有意義性と名づける」とありますね。つまり「有意義化のはたらきの関連全体」が「有意義性」だということです。

 では「有意義化のはたらき」とはどのような「はたらき」なのでしょうか。これについても引用文のなかに説明があります。引用文の前半部分をみてください。そこには「目的であるものはなんらかの手段性を、手段性はなんらかの一定の用途性を、一定の用途性は適所をえさせることがそのもとでえられるなんらかの適用を、適用は適所性がそれでもってえられるなんらかの適具を、有意義化する」とあります。

 とはいえ、これだけでは何のことかよくわからないかもしれません。例をあげましょう。たとえばあなたがキャンプにでかけたとします。しかしキャンプ地でテントを張ろうとしたところ、あなたはロープを固定するためのペグ(杭)を打ち込むハンマーを忘れてきてしまったことに気づきました。仕方なくあなたはハンマーの代わりとなるような石を周囲に探しにいきます。しばらく探していると、ちょうどよい大きさとかたちと硬さの石がみつかりました。このときこの石は、ただの石であることをやめ、ペグを打ち込む「適具」として「有意義化」されたことになります。

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