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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第127回

『ウインド・リバー』――先住民保留地の惨殺事件が暴くアメリカの闇とは?

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『ウインド・リバー』

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ネイティブ・アメリカンの保留地として知られる、雪深い山岳地帯ワイオミング州のウインド・リバー。そこで、ネイティブ・アメリカンの少女の死体が見つかった。現場に派遣されたFBI新米捜査官のジェーンは、検死の結果、生前、何者かに暴行されたことが判明するも、直接の死因は肺出血であることから満足に捜査もできない。そこで地場に詳しいコリーに協力を求め、共に被害者の父親に会いに行く――。
監督・脚本/テイラー・シェリダン、出演/ジェレミー・レナーほか。7月27日全国公開。


 零下20度以下の極寒では、 冷気を一気に吸い込むと肺が凍結し、死に至る。

 映画『ウインド・リバー』の主人公コリー(ジェレミー・レナー)は、見渡す限り真っ白な大雪原に倒れている少女の死体を発見する。コリーは、ワイオミング州ウインド・リバー先住民保留地に勤務する米国魚類野生生物局員。死んでいたのは先住民の少女で、レイプされた痕跡があった。裸足の足は凍傷で、何者かに犯され、雪の中を逃げてきたらしい。

 ウインド・リバー先住民保留地は、ワイオミング州のイエローストーン国立公園の南に実在する。鹿児島県ほどの面積に、2万6000人のアラパホ族とショショーニ族が暮らしている。

 保留地は連邦政府の管轄なので、FBI捜査官バナー(エリザベス・オルセン)が派遣される。しかし、肺の凍結が死因で、殺人ではないからFBIは手を引く。殺人は連邦法違反だが、レイプは州法違反だから。でも、州の司法は保留地には及ばない。

「実際、非先住民が先住民をレイプしても、ほとんど起訴されない」。テイラー・シェリダン監督は言う。

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