サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 写真はどんな嘘をついてきたのか?【2】/報道写真をめぐる【加工】の境界線
第1特集
写真はどんな嘘をついてきたのか?【2】

戦場写真をトイカメラ風に!? 報道写真をめぐる加工の境界線

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O.J.シンプソン事件を伝える二誌。同一の写真を採用しながら、印象の違いは明らか。

――デジタル化が進む写真において、もはや加工はありふれたものとなった。被写体を見やすくするため、撮影者の意図を強調するため……その理由はさまざまだが、こと報道写真についてはその是非が問われている。

 前記事「政治とフォトジャーナリズムが作ってきた歴史の裏側――戦争は“フェイクニュース”の温床!? 写真が形作ってきた“偽史”」では“写真のウソ”について、主に演出や恣意的な利用について触れたが、人の目を引くよう、あるいは読者に見やすいように加工された報道写真についても議論はかまびすしい。有名なものでは、1994年に発生したO・Jシンプソン事件にまつわる報道が挙げられる。かつてNFLの世界で名声を馳せたシンプソンが、元妻とその交際相手を殺害したとされるこの事件。「ニューズウィーク」は警察が提供したシンプソンの顔写真をそのまま表紙に据えたのに対し、「TIME」は同じ顔写真の明度などを落としたものを表紙として掲載した。黒人の元スーパースターによる事件という特性をよりセンセーショナルに報じようとした「TIME」には、抗議が相次いだという。

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