サイゾーpremium  > 連載  > 丸屋九兵衛の音樂時事備忘「ファンキー・ホモ・サピエンス」  > 「ファンキー・ホモ・サピエンス」【58】/【ミシェル・ンデゲオチェロ】丸刈り才女の面目躍如
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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【58】

【ミシェル・ンデゲオチェロ】徹底自己流カバー集がスゴい、丸刈り才女の面目躍如

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『Ventriloquism』

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ミシェル・ンデゲオチェロ(販売元:Pヴァイン・レコード)

 浮世離れした才女でもヒットチャートは追ってたんだな……と思える選曲だが、実際に聴いてみて腰を抜かした。未体験の人に勧めたいのは、曲名を見ないでアルバムを聴くこと。原曲を知っていればいるほど、鮮烈な驚きを体験できる。耳慣れないタイトルは腹話術の意味だが、日本人には難しすぎるのか、邦題は『カヴァーズ』。


 LGBTQBという言い方があるくらいだから、わたくしことQB Maruyaはそのスジであります。そんなせいもあるのか、知的なレズビアン(いや、実際はバイセクシャルだな)のみなさんに対する憧憬が隠せなかったりもする。

 例えば、『カラー・パープル』の著者、アリス・ウォーカー先生。2パックの叔母、アサータ・シャクールを訪ねてキューバを何度も旅した彼女は、かつてのテレンス・トレント・ダービーに似た美貌の持ち主でもある。そんなアリス・ウォーカー先生は一時期、トレイシー・チャップマンと交際していたという。きゃあああ、なんて素敵なカップルなのでしょう。

 と思ったら。アリス・ウォーカーの娘で活動家・作家のレベッカ・ウォーカーもやはりバイセクシャルであり、母同様に女性ミュージシャンと付き合っていた。その相手が本日の主役、ミシェル・ンデゲオチェロである。

 トゥパック・シャクールが出生時はLesane Parish Crooks(レサーン・パリッシュ・クルックス)だったのと同様、ミシェル・ンデゲオチェロだって1968年に生まれたときは〝ミシェル・リン・ジョンソン〟。それから改名するわけだが、左翼黒人の母が率先して姓名を改めたシャクール家と違い、ミシェルのところはいかんせん職業軍人の家庭。彼女が「鳥のように自由な」を意味するスワヒリ語を姓としたのは17歳のときだ。ついでに書いておくと、彼女は時として〈Meshell Suhaila Bashir-Shakur〉とクレジットされることもある。バシールでシャクールだから相当なものだ。

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