>   > パラリンピック1964-2020

――2020年、56年ぶりに東京でパラリンピックが開催される。今回は特別編として、日本の障害者を取り巻く環境にも大きな影響を与えた、このパラリンピック事情を追った。

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 東急電鉄が制作した、「渋谷フォトミュージアム」というサイトで64年東京五輪以前の写真を見てみると、まだまだ道路の舗装さえままなっていなかったことがすぐわかるはずだ。車が通れば砂埃が舞い……2018年3月号の当連載で映画監督の山本晋也が語っていたように、64年当時の“東京ってのは汚い町だった”のである。東京五輪に合わせて新幹線が開通し、広範囲にわたって道路が舗装されたことは事実ではあるが、それはあくまでも五輪に関係する場所や都市部周辺に限られていたのだろう。

 64年東京五輪の開会式は、開催が危ぶまれていた。当時の国立競技場には屋根がなかった上に、大方の天気予報が雨だったからである。幸いにも晴天で当日を迎えることができたが、実は東京五輪の直後に開催された64年東京パラリンピック開会式も、同じく雨によって開催の危機に直面していた。だが、それは五輪とは少し異なる理由によってであった。

 要するに、万が一でも雨が降ったら、車椅子の障害者の行動が制限され、競技にも支障が出てしまう……といった懸念からであった。アスファルトで舗装された現代でも、わずかな段差があれば車椅子での通行は困難。舗装されていない道が多かった当時の東京で、しかも雨が降ったら選手村から出ること自体が困難であったろうことは想像に難くない。

 そして当時の新聞を読むと、日本におけるパラリンピックや障害者を取り巻く環境も、現代とはまったく異なっていたことがわかる。

〈東京・代々木のオリンピック選手村は五日閉村、パラリンピック(国際身体障害者スポーツ大会)選手村に引き継がれた。(中略)このため朝はやくから、車イスの人たちが住めるようバタバタと改造工事がはじまった。食堂や宿舎の入口の階段にスロープ(階段を車でも上がれるようにする金属製の坂)をかけ、浴室のドアははずされた。〉(昭和39年11月5日付・朝日新聞夕刊)

 現在では一般名詞の〈スロープ〉という単語に、当時は注釈が必要だったのである。しかも、この記事は運動面ではなく社会面に掲載されている。以上のことからも、障害者へのサポートが十分でなかったこと、そして障害者スポーツが「スポーツ」として認識されていなかったことがうかがえる。

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