>   >   > 小原真史の「写真時評」/妖精写真の出現
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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

妖精写真の出現

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エルシーにヘア・ベル(イトジャン草)の花を差し出す妖精(写真左・1920年)
エルシーとノーム(写真右・1917年)

 1917年、イングランド・ヨークシャーのコティングリー村に住む2人の少女が撮影した2枚の写真の中に妖精らしきものが写り込み(20年にも3枚を追加撮影)、これらがのちに「コティングリー妖精事件」として知られる騒ぎを引き起こすことになる。

 当時16歳のエルシー・ライトとその従姉妹で9歳のフランシス・グリフィスは、自宅近くの森や小川で遊ぶうちに妖精と出会い、エルシーの父親のカメラを借りて撮影を行った。現像した写真のうちの2枚には、フランシスの前で踊る妖精やエルシーの膝に飛び乗ろうとするノームの姿などが写っており、これらの写真が神智学者のエドワード・L・ガードナーや作家のアーサー・コナン・ドイルの知るところとなった。

 心霊主義の信奉者で超自然現象に興味を持っていたドイルは、実物の写真を手に入れ、さらにガードナーの協力を得て手にしたネガの鑑定結果などを介して、妖精写真が本物だと確信するに至る。「シャーロック・ホームズ」シリーズでその名を知られていたドイルが、1920年の「ストランド・マガジン」誌のクリスマス号に妖精写真についての記事を執筆したことで、大反響が巻き起こった。超常写真研究会の副会長でもあったドイルは、事件についての資料をまとめた『妖精の出現』(22年)という本まで出版するほどの熱の入れようであったが、彼の確信は、存在するものしか写すことができないという写真の特質に支えられていたように見える。

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