>   >   > 【ナチス描写】の海外規制事情

日本のマンガやアニメは世界各国に輸出されているが、国によっては法律や慣習に基づいて、一部表現に規制がかけられることもある。それは性的表現、喫煙、残虐描写などさまざまあるが、あくまでコマの一部。それでは、世界最大のタブーのひとつ“ナチス”の場合はどうなるのだろうか?

1802_P076-079_P_76.jpg
1996年に翻訳された米国版『アドルフに告ぐ』。なんか怖い。

「クールジャパン」という名のもと、世界中に発信されている日本のマンガだが、暴力的なポルノ表現が国連に問題視されるなど、相変わらず海外から批判の声もある。そのため、最近は日本側も海外に出版されることを考慮して作品を制作しているが、それでも輸出されると海外では「マンガは子ども向け」という認識がまだまだ根強いため、今度は喫煙シーンが飴を舐める描写に変わり、ミニスカートの丈は描き足される。その国の法律や慣習に通じないものは、現地の出版社の判断で修正されてしまう場合もあるのだ。

 それでは、パンチラや暴力描写が修正されるのはともかくとして、歴史上のタブーに触れている場合はどうなるのか。そこで本稿で取り上げるのが“ナチス”だ。

 ミュージシャンがナチス親衛隊を彷彿とさせる衣装を着用したり、雑誌で「ホロコーストはなかった」という旨の記事を掲載すれば、ユダヤ人協会のサイモン・ウィーゼンタール・センターの抗議を受け、結果、公式に謝罪し、雑誌に至っては廃刊に追い込まれたように、ナチスを扱うというのはセンシティブ問題であることは、周知の通りだろう。

 しかし、マンガ大国ニッポンはこれまで、ナチスを何度もマンガに登場させてきた。80年代に黄金時代を迎えていた「週刊少年ジャンプ」の人気マンガ『キン肉マン』『ジョジョの奇妙な冒険』『リングにかけろ』(いずれも集英社)では、露骨にナチスの軍人をキャラクターとして描き、どれも最終的には味方になる展開だ。

 いくら日本でそのキャラクターが人気になろうとも、それが国外に出れば問題になる。同じく80年代、今のように日本のアニメが人気を博し、『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』などが放送されていたフランスでは、ある日を境に日本のアニメはテレビで見れなくなったという。

 その原因は『キン肉マン』。当時の状況をフランス人学者のトリスタン・ブルネ氏は自身の著書『水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす』(誠文堂新光社)で次のように書いている。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年5月号

ウェブ(禁)新論

ウェブ(禁)新論
    • 【ウェブ編集vs雑誌編集】討論会
    • 【ジャニーズ】動画ビジネスの是非
    • 【元NMB・高野祐衣】が美ボディ披露
    • 動画配信サービスと【JKの本音】
    • 【72歳】のユーチューバーが登場
    • 【Creepy Nuts】がヒップホップ動画を斬る
    • アジア人ラッパーがバズる【88rising】
    • 【88rising】の気鋭アーティスト6選
    • 大手企業が群がる【eスポーツ】
    • 【学者vs業界団体】がガチバトル
    • 検閲とエロの【中国ウェブ文化】
    • 【ライブチャット】が流行る中国
    • スラムと【マフィアとグロ動画】
    • 【Amazon】がテレビ局になる日
    • 【インド市場】で動画配信戦争が勃発
    • 【民泊利権】に群がる宿泊&住宅サイト
    • ネット配信が【AV】に与えた影響
    • 【配信専属AV女優】は何を思う?

マンガで学ぶ「(裏)社会学」

マンガで学ぶ「(裏)社会学」
    • 【実際のヤクザ】に聞いた下半身事情
    • 【ヲタめし】ハロプロヲタのライブ後

華村あすか、19歳のプライベートセクシー

華村あすか、19歳のプライベートセクシー
    • 【華村あすか】クダモノとカラミます。

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【橋本乃依】芸能界1年生が描く青写真
    • 【想田和弘】「観察映画」に託した未来
    • 【桜井莉菜】35歳現役ギャルモデルの提言
    • 【DJ CHARI&DJ TATSUKI】最先端ヒップホップの形

連載

    • 【アンジェラ芽衣】けっこう根暗なんです。
    • 【宮下かな子】森田童子にゾクゾク
    • 【冨手麻妙】映画界に愛された女優の身体
    • 密かに好成績を残した剣の貴公子
    • 【由美子】の夢は夜ひらく
    • 行政法研究者が語る日本の行方
    • 高須基仁の「全摘」
    • 【品川ヒロシ】が夜通し語る映画愛
    • 継続危機と対峙する【秋田の伝統祭】
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【XXX Tentacion】SNS厄介者たちの続く伝説
    • 【元スパイ襲撃被害】スパイによる本当の諜報活動
    • ナチスの【優生学】が投げかけるもの
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」/『サバービコン』
    • 実話を元に描かれた【映画でわかる】社会の病巣
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/森友ふたたび
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 女はなぜ皆【星野源】を欲するのか?
    • 俺と伝説のラッパーたちとの交遊録
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、文化系連合赤軍な雑誌の終焉。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』