>   >   > 更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【33】/幽霊、それでもマンガは楽しき商売。
連載
更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【33】

地盤沈下の出版業界、ウェブへの移行に試行錯誤――幽霊、それでもマンガは楽しき商売。

+お気に入りに追加

――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

1802_sarashina_200.jpg
浮浪雲が終わっても、いい歳のおっさんが生まれる前から連載しているマンガがまだいくつもあるのはなかなか怖い。

 前回もマンガの話をしたような気がするが、今回はマンガ特集だった。そして、現場の人間と話すたびに苦笑いしているのは、景気回復の恩恵が出版業界の地盤沈下に追いついていないからだが、利益率の高さで屋台骨を支えていたマンガですら売り上げが減っているのだから当然だ。早い段階で電子書籍へ軸足を移した出版社は下げ止まりつつあるが、むしろ大手のほうが身動きが取りづらいのか、試行錯誤が続いている。

 マンガ雑誌は筆者が編集者となった90年代からずっと赤字で、単行本売り上げで補填しつつ刊行してきたが、それすらも厳しくなっている。とりあえず印刷コストを省略するためにウェブへ移行しているが、紙のように書店営業頼みとはいかないので、サイトやアプリへアクセスしてもらう手段で苦労している。というか、各社のシステム形式がまちまち過ぎて情報を一括化できず、それぞれが五月雨式にプレスリリースを流していくしかないのが現状だ。本屋大賞の成功からシステム化された、「マンガ読み」と呼ばれるマニアや書店員たちがお寒い流行をでっち上げる論壇もどきも、ウェブ上で拡散していくマンガ表現の細分化に追いつけず、批評の効力自体が局地的になっている。これに関しては、マニア上がりの書店員などが院外団と化し、出版社の編集方針に口を出すという問題も生じていたから、悪いことでもなく、数撃ちゃ当たる的な多様性は生まれている。批評がないと即物的な流行を追うだけになりかねないのでは、という心配もあったが、マンガの場合は批評もマニア好みのフェティッシュな描写にもっともらしい理屈を与えるばかりで、あってもなくても同じだった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年5月号

ウェブ(禁)新論

ウェブ(禁)新論
    • 【ウェブ編集vs雑誌編集】討論会
    • 【ジャニーズ】動画ビジネスの是非
    • 【元NMB・高野祐衣】が美ボディ披露
    • 動画配信サービスと【JKの本音】
    • 【72歳】のユーチューバーが登場
    • 【Creepy Nuts】がヒップホップ動画を斬る
    • アジア人ラッパーがバズる【88rising】
    • 【88rising】の気鋭アーティスト6選
    • 大手企業が群がる【eスポーツ】
    • 【学者vs業界団体】がガチバトル
    • 検閲とエロの【中国ウェブ文化】
    • 【ライブチャット】が流行る中国
    • スラムと【マフィアとグロ動画】
    • 【Amazon】がテレビ局になる日
    • 【インド市場】で動画配信戦争が勃発
    • 【民泊利権】に群がる宿泊&住宅サイト
    • ネット配信が【AV】に与えた影響
    • 【配信専属AV女優】は何を思う?

マンガで学ぶ「(裏)社会学」

マンガで学ぶ「(裏)社会学」
    • 【実際のヤクザ】に聞いた下半身事情
    • 【ヲタめし】ハロプロヲタのライブ後

華村あすか、19歳のプライベートセクシー

華村あすか、19歳のプライベートセクシー
    • 【華村あすか】クダモノとカラミます。

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【橋本乃依】芸能界1年生が描く青写真
    • 【想田和弘】「観察映画」に託した未来
    • 【桜井莉菜】35歳現役ギャルモデルの提言
    • 【DJ CHARI&DJ TATSUKI】最先端ヒップホップの形

連載

    • 【アンジェラ芽衣】けっこう根暗なんです。
    • 【宮下かな子】森田童子にゾクゾク
    • 【冨手麻妙】映画界に愛された女優の身体
    • 密かに好成績を残した剣の貴公子
    • 【由美子】の夢は夜ひらく
    • 行政法研究者が語る日本の行方
    • 高須基仁の「全摘」
    • 【品川ヒロシ】が夜通し語る映画愛
    • 継続危機と対峙する【秋田の伝統祭】
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【XXX Tentacion】SNS厄介者たちの続く伝説
    • 【元スパイ襲撃被害】スパイによる本当の諜報活動
    • ナチスの【優生学】が投げかけるもの
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」/『サバービコン』
    • 実話を元に描かれた【映画でわかる】社会の病巣
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/森友ふたたび
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 女はなぜ皆【星野源】を欲するのか?
    • 俺と伝説のラッパーたちとの交遊録
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、文化系連合赤軍な雑誌の終焉。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』