>   >   > 少女マンガの洋服はなぜダサいのか?【1】/【少女マンガ】のファッション研究

「少女マンガに出てくるイケメンたちってやたら洋服がダサくないですか?」何気ない編集部員の軽口に反論するのは、『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、マツコ・デラックスを唸らせた少女マンガ偏愛家・小田真琴氏。「あのダサさには意味があるんだ!」と息巻く氏が語る、少女マンガとファッションの歴史とは……。

1802_gazou_03_300.jpg
大学の寮を舞台にした吉野朔実の『月下の一群』(集英社/82年)。夢のようにおしゃれな大学生たちのキャンパスライフが描かれている。

 少女マンガのファッションがダサいだなんて考えてみたこともなかった。そして実際にダサいかどうかよりも、「考えてみたことがなかった」こと自体にひどく驚いたのだった。これは一体どういうことなのだろうか。

 少女マンガにおけるファッション描写に革命をもたらしたのは1950年代の高橋真琴だといわれている。当時、数多くの雑誌の表紙を飾った彼の絵は、マンガ作品においては「ファッション画」を導入したことで後世の少女マンガ家に大きな影響を与えた。ストーリーとはあまり関係のない大きな人物画が唐突に現れ、物語よりも少女の髪型を、顔立ちを、そして服装を見せる絵のことだ。舞台が海外であったり、題材がバレエであったりと、高橋作品はとにかく洒落ていた。少女マンガが少女文化のカタログ的な役割を果たし始めたのもこの頃のことである。

 そのファッション表現のひとつの頂点が一条ゆかりの1974年の作品『デザイナー』(集英社)だ。当時から「MODE et MODE」(モードェモード社)や「high fashion」「装苑」(ともに文化出版局)を参考にしていたという一条はリアリティを追求し、絵空事ではないリアルなモードを少女マンガの世界に落とし込もうとしたのだ。

 一方で、いかにもさりげなくおしゃれでかわいい世界を描いたのはくらもちふさこだった。1990年頃のインタビューでは、「オリーブ」(マガジンハウス)を参考にしていると発言していたくらもちは、さらりと自分が持っている服を登場させることもあったという。「マンガで描く服は少し派手なくらいがいい」というサービス精神たっぷりの一条とは対照的に、あくまでも日常的で地に足がついたおしゃれがそこにはあった。

 しかし、こうした一部の天才たちはむしろ特異点だったのだ。一条もくらもちも、キャラクターたちのファッションは、その物語世界にぴったりと合致している。一条の激しい物語の中で描かれる自立した女性は、やはり個性的な服を着ているべきだし、都会の少女のかわいさを描くくらもち作品には、やはり洗練されたさりげない(だけど上質な)ファッションが必要だったのだ。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年10月号

最強のグラビア

最強のグラビア
    特別グラビア(1)
    • 【TikTok】で話題の美人姉妹が水着に!
    ピタピタのヨガウェアがエロい!?
    • ヌケる【筋トレ】グラビア雑誌
    • 【Tarzan】はエロい? 厳選グラビア
    特別グラビア(2)
    • 【山地まり】女性も悶えるセクシーショット
    グラビアを支える縁の下の力持ち
    • 表舞台に立てない!【レタッチャー】のトホホ話
    特別グラビア(3)
    • イメージビデオ界の新星【安位薫】18歳の肉体
    グラドルの登竜門!秋葉原イベントの裏側 声優のグラビア的価値とは?
    • グラビア業界を席巻する【声優】ブームの危険性
    • この【声優】の写真集がすごい!
    特別グラビア(4)
    • 【青山ひかる】がヒップホップなセクシーコス
    女性も楽しめるエンターテイメント空間
    • グラビアで見る【バーレスク】文化概論
    • 【バーレスク東京】オーナーが語る歴史
    奥深い遺影の世界
    • 人生最期のグラビア【遺影】研究
    極楽とんぼ・加藤浩次も大炎上
    • 過激すぎる【AbemaTV】のお色気番組

EXILE・関口メンディーの肉体美

EXILE・関口メンディーの肉体美
    • 【関口メンディー】特別グラビア

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【小瀬田麻由】大失恋したんです。
    • 【本郷杏】美しすぎるポンコツ
    • 【吉岡里帆】を脱がさないで
    • 【ニッポンのサラリーマン】のポテンシャル
    • 特別対談【横浜銀蝿・翔×高須基仁】
    • 【ボン・ジョヴィ】とボンダンス
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【オークワフィナ】女優?芸人?なフィメールラッパー
    • 町山智浩/『クレイジー・リッチ』ハリウッドで起きたアジア人革命
    • 【移民】を認めない世界第4位の移民大国日本
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/平成さくらももこ絵巻
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【オーシャンズ8】肩肘張ったフェミからの脱出
    • 陰毛に執着するオーストラリア人アーティスト
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • クラフトビールを仕込む異色の【ラーメン屋】
    • マスターベーションの悩みから生まれた【薔薇の種】
    • 幽霊、グラビアの美少女よもやま話。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』