>   >   > 女性学が語るセックスの姿【1】/ 【フェミニズム】セックス論の歴史

フェミニズムといえば、「セックスは男性優位社会の象徴だ!」といった主張ばかりしている、というイメージを持っている読者も多いだろう。しかし、実際のフェミニズム=女性学はもっと多様であり柔軟だ。そこで、フェミニズムが「セックス」なるものをどう分析してきたのかを、次記事「フェミニズムの歴史がまるわかり!セックス議論を牽引した重要書籍9冊」と共に解説!

1801_feminism_200.jpg
『メディア文化とジェンダーの政治学―第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社)

フェミニズムというと、「社会は男性優位にできている!」「だからセックスも男性優位社会の象徴である!」「だからすべてのポルノは暴力だ!」といった、ヒステリックな主張をしているようなイメージがあるかもしれない。しかし本来フェミニズム=女性学とは、男女の性差別の払拭、女性の権利拡張、社会的地位の向上などを主張する社会思想・社会運動を指し、そのベースには社会学などさまざまな学問的知見が存在する。だからこそ学問としての「女性学」は、極めて知的に、そして柔軟に、男女関係のあり方を分析してきたのである。

 そこで本稿では、フェミニズムが「セックス(性行為、性交渉)」をどのように扱ってきたのかを追ってみたい。フェミニズム史におけるいくつかの局面を象徴する名著案内と共にそのあり方を解説してくれるのは、気鋭の若手フェミニスト・大妻女子大学準教授の田中東子氏である。

「女らしさ」をセックスで刷り込む

 そもそもフェミニズムは、男女が同等の法的権利さえ持っていない時代に生まれた。先駆的な動きとしては18世紀から、本格的には20世紀初頭から巻き起こった「第一波フェミニズム」においては、ゆえに近代国家における社会的な権利の獲得、法的平等の希求こそが第一義的な目的とされた。雑誌『青鞜』に代表される明治~大正時代の女性解放運動においても、彼女たちが要求したのは、参政権や投票権、財産権など法的な権利であった。つまり、この時期のフェミニストにおいては、セックスが主題化されることはほとんどなかったのである。

 フェミニストたちがセックスについて盛んに議論するようになったのは、1960年代以降のこと。「ラディカル・フェミニズム」がけん引した「第二波フェミニズム」の時代である。この時代のフェミニズムこそが、冒頭で挙げたようなフェミニズムに対する「悪しきイメージ」の源泉となっているともいえる。

 まず、アメリカで第二波フェミニズムの契機となったベティ・フリーダン『女らしさの神話』(邦題『新しい女性の創造』/原著:1963年)を見てみよう。フリーダンは、当時もっとも幸福だとされていた、中産階級に属する白人女性たちの専業主婦としての生活を憂いた。女性に強制された家事労働や主婦の役割、従順な良妻賢母的「女性らしさ」を疑問視し、女性にも仕事が必要だと訴えたのだ。本書のなかで、家庭内に押し込められた主婦は、自己を確認するため、自らに無関心な夫、あるいは情夫とのセックスを「新しい生きがい」としていると書かれている。

 さらに、セックスにこそ男性による女性の抑圧構造が色濃く反映されていると指摘したのが、ラディカル・フェミニズムの旗手、ケイト・ミレットだ。ミレットは『性の政治学』(原著:1970年)の中で、それまで男女間の個人的な生物学的行為とされてきたセックスは、女性が従属的立場に置かれている男性優位社会構造の表出であるとした。従順な「女らしい」セックスこそが、女の肉体に性差別をすりこみ、女にも性差別を内面化させる根本原因だと主張したのだ。こうした発想の転換により、フェミニズムにおいてセックスは、忌むべき性差別の象徴となった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年10月号

最強のグラビア

最強のグラビア
    特別グラビア(1)
    • 【TikTok】で話題の美人姉妹が水着に!
    ピタピタのヨガウェアがエロい!?
    • ヌケる【筋トレ】グラビア雑誌
    • 【Tarzan】はエロい? 厳選グラビア
    特別グラビア(2)
    • 【山地まり】女性も悶えるセクシーショット
    グラビアを支える縁の下の力持ち
    • 表舞台に立てない!【レタッチャー】のトホホ話
    特別グラビア(3)
    • イメージビデオ界の新星【安位薫】18歳の肉体
    グラドルの登竜門!秋葉原イベントの裏側 声優のグラビア的価値とは?
    • グラビア業界を席巻する【声優】ブームの危険性
    • この【声優】の写真集がすごい!
    特別グラビア(4)
    • 【青山ひかる】がヒップホップなセクシーコス
    女性も楽しめるエンターテイメント空間
    • グラビアで見る【バーレスク】文化概論
    • 【バーレスク東京】オーナーが語る歴史
    奥深い遺影の世界
    • 人生最期のグラビア【遺影】研究
    極楽とんぼ・加藤浩次も大炎上
    • 過激すぎる【AbemaTV】のお色気番組

EXILE・関口メンディーの肉体美

EXILE・関口メンディーの肉体美
    • 【関口メンディー】特別グラビア

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【小瀬田麻由】大失恋したんです。
    • 【本郷杏】美しすぎるポンコツ
    • 【吉岡里帆】を脱がさないで
    • 【ニッポンのサラリーマン】のポテンシャル
    • 特別対談【横浜銀蝿・翔×高須基仁】
    • 【ボン・ジョヴィ】とボンダンス
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【オークワフィナ】女優?芸人?なフィメールラッパー
    • 町山智浩/『クレイジー・リッチ』ハリウッドで起きたアジア人革命
    • 【移民】を認めない世界第4位の移民大国日本
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/平成さくらももこ絵巻
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【オーシャンズ8】肩肘張ったフェミからの脱出
    • 陰毛に執着するオーストラリア人アーティスト
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • クラフトビールを仕込む異色の【ラーメン屋】
    • マスターベーションの悩みから生まれた【薔薇の種】
    • 幽霊、グラビアの美少女よもやま話。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』