>   >   > 河合幹雄の法痴国家ニッポン【62】/【山尾志桜里】当選に見る政治史
連載
河合幹雄の法痴国家ニッポン【62】

【不倫疑惑の山尾氏当選】山尾志桜里“不倫当選”に見る「不貞行為と姦通罪」の日本政治史

+お気に入りに追加

法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

不倫疑惑の山尾氏当選

1712_P104-105_001_250.jpg

2017年9月、「週刊文春」が、民進党元政調会長・山尾志桜里衆議院議員の男性弁護士との不倫疑惑を報道。山尾氏は疑惑を否定したものの、内定していた民進党幹事長への起用は見送られ、同氏が離党届を提出する事態に。同氏は翌10月、第48回衆院選に無所属で立候補。自民党前職の鈴木淳司氏との一騎打ちを834票差で制し、3回目の当選を果たした。


 2017年10月22日に投開票が行われ、結局は自民党の圧勝に終わった第48回衆院選。振り返るとメディアや国民の関心は、民進党の事実上の解党や希望の党への合流、立憲民主党の結成など、もっぱら野党の混乱ばかりに向けられていた印象です。

 そんな中で私は、ある意味ではそうした政局以上に重要かもしれない、とある事象に興味をそそられました。それは、不倫疑惑を報じられた元民進党の山尾志桜里が無所属で出馬し、僅差ながら当選を果たしたことです。

 というのも山尾の当選は、不倫全般、特に政治家の不倫に対するバッシングが強まっているように見える中で、その疑惑を持たれた女性政治家が逆風をはねのけた、おそらくわが国の政治史上初の“快挙”だからです。そしてそれは、政治家の不倫というものに対する社会の認識が、長い年月を経て変遷してきた歴史と、その帰結としての現状を象徴するできごとでもあるのです。それはどういうことか、歴史を振り返りながら解説したいと思います。

 まずは予備知識として、そもそも不倫なるものが日本の法律においてどのように規定されているかを確認しておきましょう。民法では不倫は「不貞行為」と定義され、第770条において離婚事由になると定められています。この場合の不貞行為とは、配偶者以外の異性との性行為を指し、配偶者以外との性交渉を伴わないデートやキス、あるいは婚姻関係にない男女の浮気などは含みません。そして不倫した配偶者とその相手は、不貞行為を含む不法行為による損害賠償について規定した第709条および第710条にもとづき、不倫された配偶者に対して損害を賠償する責任を負います。

 それに対して刑法には、不貞行為を処罰する規定はありません。要するに現在の日本において不倫は、貞操義務違反により民事上の損害賠償責任が生じる「不法行為」ではあるが、刑事責任を問われる「犯罪行為」ではなく、その行為自体によって警察に逮捕されたりはしないということです。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年8月号

男と女の性愛学

男と女の性愛学
    • 美人は残れない【女子アナ】新世紀
    • 世界の【女人禁制】スポットの歴史
    • 広告と【ジェンダー】の亀裂
    • 【生理用ナプキン】の考現学
    • 男子の疑問【生理用ナプキン】Q&A
    • 新たな性犯罪【ディープフェイク】
    • 【ヒップホップと尻】を科学する
    • ヒップホップ界の【尻アイコン】6人
    • 【性器形成】手術の進化論
    • 【性器形成】のプロセスを解説
    • 【ブロックチェーン】で刻む愛
    • 【信用創出】が課題の婚姻制度
    • 【女性活躍】を謳う職場の嘘
    • 【女性マンガ家】のエロ実体験
    • LGBT時代に問う【BL】の功罪
    • 【おっさんずラブ】はゲイ差別か?
    • 【ハウツーSEX本】の歴史的変遷
    • 【芸能人】と一般人の合コン最前線

橋本梨奈とギャル文化再考

橋本梨奈とギャル文化再考
    • 日本一"黒い"グラドル【橋本梨奈】登場

インタビュー

連載

    • 【都丸紗也華】ラーメン禁止なんです。
    • 【さとうほなみ】おじさまとセッション
    • 【酒井萌衣】元SKE48、夏の決意
    • パラアスリートの社会復帰
    • 【珠理奈】に傷心
    • ニッポンを救うCDOに求められる条件
    • 高須基仁の「全摘」
    • 伝統を守る【神田明神】の挑戦
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【袴田事件再審棄却】検察と司法の体たらく
    • 町山智浩/『Leave No Trace』公園で発見された父娘の言えない傷
    • 【ゲノム編集】が侵す人類の未来
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/サッカー日本代表に捧げる短歌
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【あげくの果てのカノン】不倫にハマる卑屈女子の実態
    • 永井豪にインスパイアされた外国人アーティスト
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 和食に合う食中酒を求めて【ビール】を造る
    • 幽霊、女のいないポルノグラフィティへ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』