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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第120回

『女神の見えざる手』――敏腕ロビイストが“ある奇策”で銃社会に宣戦布告

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『女神の見えざる手』

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ロビー活動を請け負うコール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイスト、エリザベス・スローンは、銃擁護団体から新たな銃規制法案を廃案に持ち込むよう依頼された。だが、これを断ったスローンは、解雇を言い渡されてしまう。そして彼女はある“奇策”に出たが……。
監督:ジョン・マッデン。全国公開中。


 ロビイストという言葉が生まれたのは南北戦争の後、ユリシーズ・S・グラント大統領の時代だと言われている。首都ワシントンのホテルのロビーを行き来する政治家をつかまえて、政策について嘆願する人々だ。

 現在、もっともロビー費用を使う業界は、政府に許認可権を握られている医薬品。そのほか、石油化学、保険、不動産、航空機、音楽などの企業が、毎年数億ドルをロビー活動に投じている。

 ロビイストの仕事は、映画『サンキュー・スモーキング』(05年)に描かれている。主人公はたばこ業界のために、がんの警告表示を強化しようとする政治家とテレビで論戦し、肺がんで死にかけている(タバコ被害を訴える)マルボロマンを買収して黙らせる。ロビイストの活躍にもかかわらず、全米の喫煙率は05年当時の20%から10年間で15%まで減少した。一方、登録された銃の所持者は国民の22%で、喫煙者より多い!

 これはNRA(全米ライフル協会)の力によるところも大きい。19世紀から続く銃所持者の権利団体で、会員数500万人、年に2億5000万ドルもの予算をロビー活動に投じ、銃の所持や販売を規制する法案の数々を潰してきた。

 これに立ち向かうのが、『女神の見えざる手』のミス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。保守系の大手ロビー事務所に所属し、連戦連勝の凄腕ロビイストだったスローンはバックグラウンド・チェック法案(銃の購入者の犯罪歴や精神病歴確認の義務付け)を潰すよう依頼される。この法律はブレイディ法とも呼ばれる。

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