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第1特集
どっこい生きてるピンク映画【1】

カネがなくてもココロで脱ぎます!――300万円で3日で撮影もザラ!? 斜陽産業「ピンク映画」最前線

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日活ロマンポルノシリーズが1988年に幕を閉じ、いわゆるポルノ映画、ピンク映画はすでに製作されていない、と思っている読者も多いであろう。だが、上野や池袋にあるピンク映画専門の映画館では、今でもピンク映画の“新作”が上映され続けているのだ。その舞台裏とは……?

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ピンク大賞優秀作品賞受賞作
『悦楽交差点 オンナの裏に出会うとき』(2015年)
本文中でも柳下毅一郎氏が絶賛する傑作。美しい人妻とストーカー男が織り成す奇妙な性愛模様が描かれる。主演はAV女優としても売れっ子の古川いおり。監督・脚本/城定秀夫 出演/古川いおり、福咲れん、佐倉萌ほか (C)OP PICTURES

 人の行き交う東京・上野駅しのばず口から徒歩3分、不忍池のすぐ近くにあるのが上野オークラ劇場だ。もともとは1950年代から続く老舗映画館だが、2010年に移転新築され、まだ新しくきれいだ。平日の昼間であるにもかかわらず、高齢男性が次々と館内に吸い込まれていく。

 10月の半ば、この劇場で上映されていたのは――何もかもがうまくいかない男が、ふらりと立ち寄ったスナックで出会った軽い知的障害のある女性をめぐる、愛の物語――そんな映画だ。ただし、セックスシーンがふんだんに登場する。主演・涼川絢音、監督・山内大輔によるピンク映画『ひまわりDays 全身が性感帯』である。

 この新作のほかに、旧作2本も同時上映される3本立て。一本は60分から70分と短く、主演を含む3人の女優が必ず濡れ場を見せる。これがピンク映画のスタイルであり、伝統として長年守られてきたものだ。人情話あり、重厚な人間ドラマあり、コメディありと、そのジャンルは多岐にわたっているが、その中心に男と女の物語があるということは、変わらない。

 そもそもピンク映画とは、劇場公開を前提につくられた成人指定の映画であり、独立系の制作会社によってつくられた作品を指す。つまり、大手制作会社である日活(にっかつ)によるロマンポルノや、2004年にヒットした東映ビデオによる杉本彩主演の『花と蛇』などは、成人指定映画であってもピンク映画には分類されない。あくまでも映画なので、セックスシーンが多いといってもそれはストーリーの中に組み込まれ、女優も男優も、性器は“前貼り”で隠して撮影。AVのようなモザイク修正はほぼなく、アングルの工夫によって局部は画面に写らないことがほとんどだ。

 諸説はあるが、一般的にピンク映画の第1号は、1962年に公開された『肉体の市場』という作品だとされている。当時マスコミで話題となっていた「六本木族」の生態をテーマにしたこの映画は、大胆な裸体表現と凌辱描写が注目され大ヒット。そのため同様の映画が量産されることとなり、それらがやがてピンク映画と呼ばれるようになった。

 ピンク映画の全盛期は70年代後半。当時は年間200本以上が制作されていたが、AV登場などの影響もあり、徐々に衰退。現在は、冒頭で紹介したオークラ劇場を擁する大蔵映画(オーピー映画)一社による年間36本が制作されるのみという状況だ(まれに、他社が数本制作することはあるが)。

 10年前には全国に100館以上あったピンク映画専門館も、現在では40館ほどに減少し、都内では、この上野オークラ劇場とそれに付随する上野特選劇場、そしてシネロマン池袋のわずか3館のみ。こう書くと、ピンク映画などもはや過去の遺物であるかのように思われるかもしれないが、15年より大蔵映画が開催している、ピンク映画を一般映画館で上映するという企画「OP PICTURES+」には若い観客や女性客が押し寄せるなど、新しい層による再評価も起きてはいるようだ。

 ピンク映画を取り巻くこうした状況を、大蔵映画の映像部部長であり、上野オークラ劇場の支配人でもある斎藤豪計氏はこう語る。

「正直言って、採算ベースにはまったく乗っていません。儲かるならば、他社さんもまだつくっているでしょうしね(笑)。うち(大蔵映画)は、ボウリング場やゴルフ練習場などのエンタテインメント事業部、それから不動産部などもあるので、そちらの利益で映像部門をなんとかカバーしているというのが現状です。それでもピンク映画を続けているのは、使命感なんですよね。うちがやめたら、ピンク映画という文化自体がなくなってしまう。55年の長きにわたって紡がれてきたピンク映画の歴史が、途絶えてしまうんです。今でも支持してくれるお客さまがいる限り、やめるわけにはいかないんです」

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