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河合幹雄の法痴国家ニッポン【60】

【元TBS記者のレイプ事件もみ消し!?】クソ忖度を招いた“安倍人事”の罪

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の“意図”――。

レイプ事件もみ消し!?

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15年、安倍晋三首相と親しい元TBS記者の山口敬之氏によるジャーナリストの詩織氏に対する準強姦容疑で、警察が逮捕を直前で取りやめていたことが発覚。警視庁刑事部長(当時)の中村格氏が、捜査中止を決裁したことを認めたと報じられ、また詩織氏本人による会見も話題となり、事件のもみ消しではと騒動に。現在、検察審査会による審査が行われている。


 森友学園・加計学園問題や閣僚・国会議員の相次ぐ失態、さらには2017年7月の東京都議選における自民党の歴史的大敗などにより、長く“一強時代”を謳歌していた安倍政権が、やにわに終焉へと近づきつつあります。といっても、17年6月の通常国会閉幕と同年8月の内閣改造によって、連日メディアを賑わせていたそれらの問題から、一時的に国民の目がそらされてしまった印象は否めない。中でも特に人々の関心と記憶が急速に薄れつつあるのが、警察や官邸の関与が囁かれた、ジャーナリストの山口敬之氏による準強姦事件のもみ消し疑惑ではないでしょうか。

 しかし、私はこの一件こそ、安倍政権の功罪を改めて検証する上で、決して忘れてはならないものであると思う。というのもこの一件は、内閣人事局による“最悪”の官邸人事によって引き起こされたと考えられる、まさに安倍政権の体質を象徴するケースだからです。それはどういうことか。事件の概要を振り返りながら論じてみたいと思います。

「週刊新潮」(17年5月18日増大号)によれば、元TBSワシントン支局長の山口氏に15年4月に強姦されたと訴えたのは、ジャーナリストの詩織氏。同氏は、就職活動のため山口氏と会食した際、薬を飲まされホテルでレイプされたと警察に相談。警察は準強姦の疑いが強いと見て逮捕状まで取ったものの、なぜか逮捕予定の当日、上層部からの連絡で逮捕を取りやめた。しかも同誌の取材に対し、あろうことか捜査の責任者たる警視庁刑事部長(当時)の中村格氏が、逮捕中止を自ら決裁したと認めたのです。

 被疑者の山口氏は、『総理』(幻冬舎、16年)などの“安倍ヨイショ本”を上梓するほど安倍晋三首相と親しいジャーナリスト。一方の中村氏は、菅義偉官房長官の秘書官を長年務め、その信頼を得ている人物です。それらの事実を踏まえて同誌は、官邸あるいは警察が、安倍政権のイメージダウンを避けるために事件をもみ消したのではないか、と糾弾した。そして、詩織氏がその後、検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立て、顔と実名をさらして記者会見を行ったのは周知の通りです。

 実際に準強姦が行われたかどうかは、現時点ではわかりません。ただ、それとは無関係にはっきりいえることもある。それは、被害を訴える女性が名乗り出て、検察審査会に申し立てた以上、山口氏が起訴されて裁判員裁判にかけられるのは時間の問題で、そこで彼が罪状を否認し続ければ、そもそも逮捕に十分な証拠があるわけですから、長期の実刑判決が予想されること。そしてさらに重要なのは、一連の騒動の様相が、政治権力や警察による事件のもみ消しというもっともありがちな“陰謀”のパターンにぴったりと当てはまってしまい、多くの国民がそれを信じてしまうような状況が現出してしまったこと。つまり、法治国家の根幹を揺るがすような“陰謀”がリアルなものとして国民に受け止められ、ことの真偽にかかわらず、すでに権力に対する深刻な不信を招いてしまったということです。

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