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クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第45回

【クロサカタツヤ×高口鉄平】日本企業のAI・IoT導入は、絶望的な結果!?経済効果につなげるための覚悟とは?

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実質GDPはICTを最優良企業群並みに活用できれば、1.4倍に
(注)「ランキング企業並みの効果を実現した場合」は、標準シナリオの成長率に2030年度までに4.1%ポイント上乗せとなるように各年の成長率に徐々に上乗せした場合。
出典:日本経済研究センター「第4次産業革命の中の日本 ~情報は国家なり~ ICT活用、最優良企業並みなら成長率4%押し上げも -ハードとヒト偏重の経済社会体制からの脱却を」より引用。

――企業のIT活用では、後進国の立場に甘んじてしまっている日本。ただ、すべての企業が適切にこれを活用すれば、経済成長率が4%以上も押し上がるという推測値も報告されている。であれば、後進国の現状はどうなっているのだろうか? この報告をまとめたひとりである静岡大学・高口鉄平准教授に、日本企業のIT活用実態と、今後求めるべき道を聞いた――。

クロサカ 前回、日本企業でIT活用が進まない背景について議論しました。ちょうどその頃、日本経済研究センター【1】から、すべての日本企業がITを十分に活用すれば経済成長率を4・1%も押し上げるという研究発表がありました。今回は、その研究チームで中心的役割を果たした高口鉄平先生に、お話を聞きに来ました。

高口 この研究のきっかけは、2年ほど前に私が日本経済研究センターの委員になって、情報通信技術が社会をどう変えるのか、という研究会に参加したんです。最初は、ICTといわれる情報通信技術がどのくらい経済に効果があるのか分析したんですね。今回は2回目なので、ICT全般だけでなく、話題のAIとIoTについても、どのくらい利用されているのか、どのくらい効果があるのか分析してみたんです。

クロサカ その問題意識を持ったのには、何かきっかけがあったんですか?

高口 実は2012年頃に、情報財つまりどんなデータにどのくらいの価値があるのか、ということを調べる研究会に参加していたんですね。当時はすでにビッグデータブームの頃だったのに、企業にヒアリングしたら「データを使っていません」「ビッグデータわかりません」というところが結構多いことがわかって、これはちゃんと調べる必要があるなと思った。

クロサカ おお! 実は僕が事務局をやっていた研究会ですね。しかし、僕は資料をまとめていても「言われているほど使われてないな」という程度の認識でしたが、高口先生はすでに問題意識を持っていた。彼我の差を感じます。

高口 でも、ICTの投資効果をきちんと調べようとすると、かなり難しいんです。

クロサカ そもそも「ICTを使っている」「AIやIoTを活用している」ということを、どう定義するのか。「バリバリ使っています」って言っても、もしかしたらエクセル方眼紙【2】で、絵を描いているだけかもしれないですよね。

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