>   >   > 町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第117回/『この世に私の居場所なんかない』
連載
町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第117回

『この世に私の居場所なんかない』――義憤に燃える介護士が神の戦士になる血みどろコメディ

+お気に入りに追加

『この世に私の居場所なんかない』

1709_machiyama_200.jpg

冴えない人生を送る主人公ルースは、不運続きの毎日。そんなある日、一人暮らしの家に空き巣が入り、ノートPCと祖母の形見である銀食器が盗まれた。だが警察は、彼女の不注意ばかりを指摘して、なにもしてくれない。ついにキレた彼女は、近所のオタク青年トニーとともに犯人探しに奔走する。

監督/メイコン・ブレア、出演/メラニー・リンスキーほか。Netflixにて配信。



 すずさんは『この世界の片隅に』で自分の居場所を見つけられたが、オレゴン州ポートランドの介護士ルース(メラニー・リンスキー)は「この世に私の居場所なんてない」と感じ続けていた。

 出勤中のラジオからは、無差別乱射事件のニュースが流れている。犯人が使用したライフルは正規で購入したものだった。この国では銃を持つ権利が認められている。

 病院のテレビでは、デモの中継を映している。警察官がまた丸腰の人を射殺したことに怒っている。それを観た患者が「猿どもめ」と毒づいた。おばあちゃんは「お前らのデカい猿マラをあたしの綺麗なマンコに突っ込まないでよ」とつぶやいて死んだ。遺族は「母の最期の言葉は何でした?」と尋ねるが言えるわけがない。

 スーパーに行けば、客が棚からポテチを落として、気づいてるくせに拾いもしない。バーで本を読んでたら、隣の男がいきなりオチをつぶやいた。家に帰れば庭に犬のフン。もう、ビールを飲むしかない。こんなに太ったのもクソ野郎どものせいよ!

 そのうえ、何者かが家に侵入して、大事なラップトップとおばあちゃんの形見の銀食器を盗んでいった。警察は何もしてくれない。こうなったら私がやる! クソ野郎どもに正義の鉄槌を下す!

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年9月号

日本のタブー

日本のタブー
    • 【中国】が目指す究極のディストピア
    • 【韓国人になりたい若者】と美容整形
    • 【オウム真理教】が利用したドラッグ
    • Kダブが語る【愛国ソング】の是非
    • なぜヤバい【大学】は生まれるのか?
    • 危険な【大学図鑑】2018
    • ヤバい【配信ドキュメンタリー】
    • すぐ見られる【ドキュメンタリー】12選
    • 【ジェントリフィケーション】の功罪
    • 【豪雨災害】の裏にある宅地開発
    • 【スピリチュアル】業界の最新事情
    • 流行りの【子宮系】ってなんだ?
    • 衰退する【宗教】にすがる政治家のなぜ
    • 【葬儀ビズ】と首都開教
    • 学問としての【心霊とオカルト】
    • 暴かれた【暴力団】最大のタブー
    • 減少する全国の【暴力団】

美人YouTuber"配信不可"グラビア

美人YouTuber
    • 【うなぎひまわり】禁断の着衣とは?

NEWS SOURCE

    • 活発化する【公安調査庁】のお粗末さ
    • メディアが黙殺した【タモリ】タブー
    • 【小室哲哉】不倫騒動のその後

インタビュー

    • 【湯川ひな】演技に目覚めた17歳
    • 【男劇団青山表参道X】イケメン戦国時代に殴り込み
    • 【なでしこ寿司】女人禁制の世界に波風を立てる

連載

    • 【小倉優香】基本的に不摂生なんです。
    • 【永尾まりや】自然体美女の夏の予定
    • 【朋ちゃん】を慰めるやつはもういない
    • 日本のテレビ局は韓国を見習うべき
    • 高須基仁の「全摘」
    • EZ DO【BON】DANCE爆誕
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【ジェイ・パーク】「元2PM」の看板も今は昔
    • 町山智浩/『ソーリー・トゥ・バザー・ユー』労働SFが描く暗黒郷
    • 【新聞社】が抱える病巣と復活への道
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/殺人猛暑2018
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【未来のミライ】酷評から見える、相互理解の絶対的難しさ
    • ロリータの写真を撮るメキシコ人カメラマン
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 映画の世界から【ビール】道へ
    • 幽霊、草食系十字軍と不能者の憎悪。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』