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【premium限定連載】齢(よわい)67歳アイドルにハマる!【2】

7時間半のライブも完全観了達成、75歳の万年青年の乃木坂愛が止まらない!

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齢(よわい)67歳の週刊誌記者が突然アイドルにハマってしまった……余生を乃木坂46に捧げる!そんな覚悟で送る、オジサンのヲタ活ノススメ。

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『おいでシャンプー』

 私は昨年8月の乃木坂46神宮ライブに初参戦し、それをすぐ週刊誌に寄稿したところ、記事を読んだIさんという人から手紙をいただいた。その人は乃木坂46で初めてアイドルにハマったということで私の記事に共感をしてくれたのだ。Iさんの年齢を聞いてビックリ。なんと御年75歳。上には上がじゃないが、67歳の私より年上の人がヲタをやっているとは! 手紙の内容が嬉しくてすぐ連絡をして息投合。しょっちゅう電話をするようになり、その年のクリスマスライブにいっしょに行くことになった。当日会ったIさんは背が高く若々しい人だった。初対面という気がしなくて開演前に喫茶店でライブへの期待を語り合い、もう気分はOVERTURE(ライブのときの前奏)で会場へ向かった。ステージに明かりが灯りメンバーが出てきたとたん、我々2人はコールとともに合計6本のサイリウムを振りまくり最後まで幸せな時間を過ごしたのだった。

 私もだが、Iさんも年配者ゆえに初めての乃木坂46ライブにたどり着くまでやはり苦難の道だったのだ。Iさんは夜更かしタイプで、ときどき「乃木坂って、どこ?」(テレビ東京系)を観てたけど、2013年にリリースされた6枚目のシングル「ガールズルール」で白石麻衣が、8枚目のシングル「気づいたら片想い」で西野七瀬がセンターに立つに至り、もうライブを観に行きたくてしょうがなくなった。YOU TUBEで過去の番組を、ネットのライブ配信で最新のメンバーのトークをという具合に、全身全霊で乃木ヲタへの道にまい進し、見れば見るほど胸がたかまっていった。

ジャニヲタの娘さんに平身低頭

 しかし年齢を考えるとライブ会場に一人で行くのは周囲の反応が不安だ。それを考えるととても敷居(じゃなくてゲート)が高い。そこでIさんは思案したあげく、娘さんに土下座して同行を懇願したのだった。なにしろ娘さんは以前からのKinKi Kidsファンでバリバリのジャニヲタ。もちろんコンサートなどの「現場」にも精通していたので頼りになる。Iさんは父としての威厳はひとまず置いておいて、平身低頭して娘さんに頼み込み、なんとか2人でライブに行くことになった。娘さんの勧めで、サイリウムを通販で買い、振り方も指導してもらったそう(今では公式サイリウムを4本振ってコールできるまでに成長)。

 そして記念すべき初めてのライブ参戦が2014年の夏の神宮。それまでにトークショーなどには参加していたが、大きな会場でのライブは初めて。1曲目の「夏のFree&Easy」で七瀬のかわいさにズッキュン!「この世にこんなかわいい娘がいるなんて」といきなり感動が全開して心臓が止まりそうになったという。ここまでの在宅の修業が走馬灯のように脳裏によみがえりもう落涙寸前。生きててよかった!やみつきになるしかない!と心が今まで以上に乃木坂愛にまみれてしまったそうだ。

 これでライブに行くことが生きがいになったが、娘さんはさすがに2回目からの同行を拒否。ジャニヲタと乃木ヲタ、分かり合えない親子の悲しみを乗り越えて、Iさんは「そうだ!乃木ヲタ仲間を作ろう!」と決心。そこで以前から取引先でなじみのある3人の30代の男性たちをライブに誘った。まったくアイドルに興味のなかった3人だが、Iさんの人柄と熱意でとりあえず同行することになった。Iさんが偉いのは「無理につき合ってもらうのだから」と、毎回3人のチケット代を負担したことだった。自らのお小遣いを犠牲にするとは、涙ぐましい布教活動である。

 そして驚くことに、数回ライブに行くうちになんと3人とも完全に乃木ヲタになってしまったというのだ。若い信者が減っていると嘆く宗教団体は参考にしてほしいくらいだ。それからはみんな自費でチケットを買い、グッズを買うようになった。しかも精力的に握手会やイベントに参加するようになり、まさに「出藍の誉」状態。地方のライブがあれば4人でいっしょに車に乗り込んで、バンドワゴンのようにワイワイ現地に向かう。車内ではライブで何かサプライズはあるのかとか、それぞれの推しメンのことで盛り上がるのだった。特に趣味らしい趣味もなかった3人が先達と共にひたすら乃木ヲタへの道を突き進む、歳が離れている人たちが乃木坂46で心をひとつにできるというのが素晴らしい。

気温2度の中で長時間ライブを体験

 さてIさんにとって記念すべきは、2012年のデビュー曲から数えて三度目のバースデーライブ(2015年2月)だった。Iさんは73歳にして、気温2度の西武ドームで全7時間半の今や伝説となったライブを完全観了達成を成し遂げたのだった。席も良く、すぐそばから白石麻衣が出て来て「ガールズルール」を歌い始めるという、なんともうらやましい席運だ。当時73歳のIさんが、寒さも忘れて長時間のライブに参加したことには驚嘆するしかない。愛の力は人間の加齢を凌駕するのか。「ヲタ活動がシニアの新たな可能性を探る」なんて大げさなことは言わないが、やはりすごいと思う。しかもライブだけでなく「アルバムお渡し会」や、舞台やフィルム上映会などもマメに通っている。Iさんは女子高出身でほんわか感のある中田花奈が推しメンで、一時期はたくさんCDを買って足繁げく握手会に通っていた時期もある。一度ライブで花奈ちゃんのタオルを掲げていたら本人から目でレスがあり、認知されたと大喜び。その後、握手会に行ったら全然覚えてくれてなくて膝から崩れそうになったということがあった。

 それでもずっと彼女の出演番組やネット配信は欠かさず見たり聴いたりしている。Iさんは「乃木坂46は私にとってはノスタルジアなんですよ。青春時代が戻ってきたように感じさせてくれます。楽曲もいいし何よりメンバーに『自分が自分が』という感じがなくて、キャラが控えめなところが守ってあげたくなるわけです」と話す。私もよくIさんに電話して「花奈の今回のブログちょっと寂しそうでしたね」とか、「表題曲じゃないけど『不等号』は名曲ですよね」など、2人合わせて御歳140歳超えとは思えない会話をしている。乃木坂46の歌詞には、ほかのアイドルにはない中高年の若き日の恋愛経験とオーバーラップするものが多いことを、Iさんと話していると確認できる。

 有名大学を出て一流企業に勤めていたIさんは、子どものころ乃木坂の近くに住んでいたとか、メンバーのデータや出来事などについて克明に覚えていることなどから、いい家系の出じゃないかと思った。思い切って訊ねると、Iさんの叔父は戦後の内閣の要人だったとかさらっと話してくれた。そんな人が乃木坂46をこよなく愛しているとは。

 Iさん、中高年はトイレが近いからライブの日には事前から水分を控えるという、そのストイックさでいつまでも元気でライブに通ってください、お互い年齢を考えると若い人と違って、いつかは「途中退席」しなければいけないですが、それまでは全身全霊で乃木坂46を応援しましょう。

土肥 真也
1948年生まれ。長年週刊誌記者として実用やエンタメなどの記事を取材・執筆。今も現役でウェブニュースなどの仕事をしている。ハードロック好きでツェッペリンやディープパープルの初来日ライブに行ったことが記憶の中の宝物。しかし、たまたま聴いた1曲で乃木坂46が降臨してしまう。以来座学で数年間乃木坂46を学ぶも、我慢できなくなり昨年初めてライブに参加して初めてサイリウムを振りまくった。その感動を週刊誌に寄稿、以来年下のファン仲間ができて楽しく一緒にライブに通っている。夢は家族席、女性席に次ぐシルバー席を用意してもらい死ぬまで乃木坂46のライブに通い続けること。

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