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大石始のマツリ・フューチャリズム【15】

盆踊りはかつて即興的だった――祭りとフリースタイルの相性

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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西馬音内盆踊りの特設櫓の上で熱演を繰り広げる囃子方。MCバトル人気も相まってか、祭りにおけるラップのあり方にも変化が起きているとか?(写真/ケイコ・K・オオイシ)

 はるか昔から伝わる盆踊り歌に合わせ、決まりきった振り付けで踊るもの――盆踊りに、そんなイメージを持っている方は少なくない。もちろん、地域で継承されてきた伝統を守り、次世代へパスするのも盆踊りの大切な側面だが、盆踊りの形は決してそれだけではない。歌い手が“フリースタイル”で言葉を繰り出し、ひとつひとつの言葉に対して踊り手たちが熱狂するような、いわば現在注目を集めているMCバトルとほとんど変わらない盆踊りのスタイルが、かつては各地で行われていた。今回はそんな「フリースタイル・ラップとしての盆踊り」を紐解いてみたい。

 日本三大盆踊りのひとつに数えられる秋田県雄勝郡羽後町西馬音内の「西馬音内盆踊り」は、そうしたフリースタイルの姿を現代に伝えてくれる盆踊りだ。名物は踊り手たちの優雅な舞いだが、その踊りを煽るのが、笛や大太鼓、三味線、鉦によって奏でられるクールな囃子と、喉に自信のある者たちの歌。秋田弁の特徴的なイントネーションによる「地口」(リズミカルに言葉を乗せていくパート)は、ほとんどラップ。しかもフレーズは星の数ほど存在し、即興的要素も強かったという。もっとも有名なフレーズがこれだ。

「時勢はどうでも/世間はなんでも/おどりこおどたんせ/日本開びゃく/天の岩戸も/おどりで夜が明けた」

 この一節が掲載された『西馬音内盆踊り 地口とがんけ集』によると、「地口の内容は口から出放題的な即興のものや、ユーモアに満ちたもの、世間世事を風刺したもの、野趣情緒あふれるもの、素朴でエロティックなものなど多彩」とのことで、確かに同書に掲載された地口の中には、村落生活ならではのおおらかなセックス観が偲ばれる卑猥なものや、村の誰かの性交渉失敗談を盛り込んだであろう生々しいものも含まれている。こうした文句からして、すでにMCバトルに似たものを感じさせるが、興味深いのは、次の句のように意味不明なものも多数残されていることだ。

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