>   > 精神異学~忘れられた治療法~【2】/精神錯乱を【マラリヤ感染】で治癒せよ
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精神異学~忘れられた治療法~【2】

【精神科医・岩波明】梅毒末期の精神錯乱をマラリヤ感染で治療せよ!

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[語句解説]マラリヤ療法

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20世紀初頭に行われた、精神疾患に対する発熱療法の一種で、患者を意図的にマラリヤに感染させるもの。感染方法としては、マラリヤ患者の血液を静脈注射して行なう。その結、果患者はマラリヤに感染、その40度あまりの発熱によって、梅毒の末期症状である進行麻痺が改善することもあった。この治療法は日本でも行われ、戦前右翼であり思想家の大物、大川周明が受けたことでも知られている。


 かつて精神疾患、特に統合失調症は不治の病と見なされ、有効な治療法が存在しませんでした。そのため今日の視点からすると、多くの奇妙な「治療法」が考案されては姿を消していきました。そうした中で、さまざまな方法で施行されたのが、いわゆる「ショック療法」です。この治療法は、精神疾患の混乱した「脳」に強い衝撃を与えれば回復するかもしれないという、根拠のない仮説から生まれたものでした。

 ショック療法の中で、現在まで形を変えて生き残っているものに電気ショック療法が挙げられますが、今回のテーマとしては、発熱療法の一種である「マラリヤ療法」を取り上げましょう。マラリヤはマラリヤ原虫によって発症する感染症で、熱帯から亜熱帯に広く分布しているもの。マラリヤは断続的に出現する高熱を特徴とし、適切な治療を行わないと死に至ることもある重大な疾患です。

 高熱が精神疾患を改善させるケースのあることは、ギリシア・ローマ時代から知られていました。19世紀の中盤には、腸チフスやコレラ、ジフテリアなどの感染症によって精神症状が改善したことが報告されています。マラリヤ療法は、マラリヤに人為的に感染させ、その時に生じる高熱によって精神疾患の症状を改善させようというものでした。この治療法は、オーストリアの医師ヤウレックによって研究が進められ、彼はマラリヤ療法が「進行麻痺」という精神疾患に有効であることを発見しました。この治療法が考案された当時、進行麻痺は精神科の扱う重要な疾患でした。

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