>   >   > 小原真史の「写真時評」/「物言わぬ勇士たち」の戦争(下)
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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

「物言わぬ勇士たち」の戦争(下)

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「戦場の犬」キーストーン・ビュー・カンパニー、1921年、ステレオ写真、個人蔵

 犬は太古の昔から人間の友であり、忠僕だった。狩りのパートナーや外敵から財産を守る警備役として人間のそばでその生活を支えてきただけでなく、「物言わぬ勇士」として今日まで世界各国で戦争に導入され続けてもいる。紀元前13世紀頃のアッシリア帝国のレリーフに軍用犬の図像が残されているから、軍事利用の歴史だけで3000年近くにも及んでいることになる。犬は文明を築いてきた人間の同伴者なのだ。

 19世紀から20世紀初頭にかけて、補助戦力としての軍用犬の組織的な育成が、ヨーロッパ諸国から戦争を媒介にして広がった。戦車や機関銃、毒ガスなど数々の近代兵器が使用された第一次世界大戦時(1914~18年)には、戦場の様子が立体視できるステレオ写真や絵葉書が販売されたが、それらの中には、新兵器と並んで負傷兵探索犬や衛生犬などの姿がしばしば見られる。日本で軍用犬が新兵器として絵葉書などにたびたび登場するようになるのは、1930年代に入ってからのことだ。

 高い殺傷能力や機敏さ、聴覚や嗅覚の鋭さ、主人に忠実な特性などを持つ犬は、歩哨犬、偵察犬、伝令犬、運搬犬、衛生犬として、戦場でさまざまな役割を与えられた。軍用犬が敵軍に利用されないために、主人への忠実さは必要不可欠なものだったが、そうした特性がイヌ科の中で群を抜いているとされたのが「日本犬」だった。

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