>   >   > アダルトグッズから考察する女心と膣事情【1】/【女性用性具】で見る女の性

――アダルトグッズの市場規模が2000億円にも及ぶ日本において、その主体はもちろん男性であるが、自主的にバイブやローターを手に取る女性も1割程度はいるという。女性向けグッズ市場を眺めることで見えてくる、日本のセックス観とはいかなるものか。

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ローターやバイブ本来の持つイメージを覆したオシャレなフォルムで、大ヒットした「iroha」。現在では一部ドラッグストアで購入できるものもある。

 性産業大国・日本。アダルトビデオや性風俗などの発展や多様性もさることながら、「性具」(=アダルトグッズ)に関してもさまざまなものが市場に出回っている。そんな中で、今注目するべきなのが女性をターゲットにした商品だ。正確な調査は存在しないが、女性用アダルトグッズは男性用のそれと比べて1割程度の規模というのが業界関係者の共通認識だというから、マーケットとしてはまだ大きくない。しかし、矢野経済研究所の調査によればアダルトグッズ全体の市場規模が2093億円(2014年)なので、単純計算で約200億円といった数字を弾き出せる。これは決して軽視できる数字ではない。

 本稿では隆盛する女性用アダルトグッズ市場を分析しつつ、そこから見えてくる日本の女性たちのセックス観について眺めていきたい。

 女性の下半身をターゲットにした商品は実に多岐にわたる。基本的には「射精」がゴールの男性向けと違い、女性向けグッズはオーガズムに達することだけが目的ではないものも多い。例えば、「膣に入れるもの」といえば、バイブなどの性欲解消グッズから、同じ膣に挿入するのでも、筋肉が鍛えられ締まりが良くなるという膣トレグッズの「インナーボール」から、オリモノや臭いが軽減されるという「ジャムウスティック」、あるいはパワーストーンを入れることで運気が上がるという「ジェムリンガ」など、コンプレックス解消やスピリチュアル系商品も局地的に支持を得ており、また妊婦の胎教用に膣内挿入スピーカー「Babypod」が発表されネット上で話題を呼んだりもした(もちろん悪い意味で!)。また、バイブひとつとってもドンキホーテなどで1000円程度で購入できるものから、数万円する海外製の高級品までさまざまだ。例えば米国のバイブメーカー「SVAKOM」からは38度の人肌に温まるバイブや、ワイヤレスビデオカメラ搭載のバイブなど、ただ振動するだけではない、ユニークな機能を搭載したものがリリースされている。さらに、TENGAが手がける初心者向けのグッズ「iroha」シリーズは、これまでのアダルトグッズや女性のマスターベーションのイメージを変え、数十万個を売り上げるヒットを記録した。

 そして、こうした女性向けグッズを扱うショップもさまざまだ。『アンアンのセックスできれいになれた?』(朝日新聞出版)などの著書で知られ、フェミニストとしての活動も活発な北原みのり氏が代表を務める「LOVE PIECE CLUB」は、日本初の女性向けアダルトショップとしてスタートし、20年以上の歴史を持つ老舗だ。さらに、00年代以降のインターネットの普及により急速に勢力を拡大しているのが、対面せずに購入できるECサイトだ。その代表格として挙げられるのが「LCラブコスメ」。ここで特筆すべきは、ローターやバイブなどのアダルトグッズ以外にも、サイトの名前通り「キス専用美容液“ヌレヌレ”」や「ベッド専用香水“リビドーロゼ”」といったコスメ系も充実しており、美容と性を両立させる「セクシャルヘルスケア」を提案していることだ。ちなみに公式サイトによると「ヌレヌレ」は149万本、「リビドー ロゼ」は30万個の大ヒット商品なのだという。このサイトの運営会社・ナチュラルプランツは、転職サイトDODAに掲載された会社情報によると年商40億円(14年3月期)だというから、商売の隆盛ぶりがうかがえる。

「オナニー」は禁句――広告戦略の徹底ぶり

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【図1】「LCラブコスメ」のサイト内で採用されているイラスト。なんともいえない作風だが、女子には刺さっている?

 女性向けグッズの発展を語る上で欠かせないのが、その徹底した広告戦略だ。男性向けのアダルト広告やパッケージは、TENGAのような例外を除き、基本的にはどぎつい色合いや直接的なエロ表現が目立つが、女性向けのアダルト商品やECサイトはむしろその逆をいっている。中でも「LCラブコスメ」は独特で、自社サイトも女性受けしそうなデザインを採用し、あしらわれるイラストも「萌え」や「エロ」とは縁遠いシンプルな絵柄。扱う商品も美容・コスメの要素を前面に出し、一見するだけではアダルトグッズも扱うECサイトとはわかりにくい。とある女性向けサイトの広告営業担当者はこう語る。

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