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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

娘・沙也加との不仲説も“あえて反論しない”聖子流マスコミ掌握術! 週刊誌が追い続けた松田聖子物語【後編】

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松田聖子オフィシャルHPより。

「週刊誌が追い続けた松田聖子物語【前編】」はコチラ

 神田正輝(66)との離婚から1年後の1998年5月。松田聖子(55)は審美歯科医師との再婚を発表した。聖子は得意満面で再婚報告会見を行った。

 医師と患者の関係から恋に発展。結婚の決め手を「ビビビときた」と聖子は表現。後に「ビビビ婚」と呼ばれ、聖子語録のひとつになった。聖子は週刊誌の喜ぶ「ネタ、言葉、仕草」を心得ている稀有な歌手であると実感する。

 結婚発表までノーマークの週刊誌だったが、週刊誌を本気にさせるのが聖子の聖子たる所以。「裏に何かある」と新たなスクープ合戦が展開された。

 歯科医はまだインターンで、ロスで本格的な審美を学ぶためにロスに渡った。ロスにはアメリカ進出の拠点となった聖子の家がある。今度はこの歯科医の周辺取材が始まる。

「聖子との結婚によってロスの住まいを確保し、高額な授業料も聖子が払うのでは」と、週刊誌のあら捜しが始まった。「なぜ、将来有望な医師がバツイチの聖子と結婚するの」という歯科医周辺の人たちの声も紹介。政略結婚説まで飛び交った。

 週刊誌はタイトルが購買動機に繋がる。タレントのネームバリューと中身。「聖子の名前が大きく、タイトルもショッキングなであればあるほど売れる」という神話が生まれた。

 ロスに渡って歯科医と日米を行き来する聖子。その板挟みにいたのが娘の沙也加。すでに高校生だった沙也加と新たな父親はロスで一時、同居することになり、やがて沙也加は日本に戻った。その報道がでるやいなや「変則な別居。そう長くは続かない」という見方が占めるようになった。案の定、聖子は歯科医とも2年半で離婚。その後はバックミュージシャンとの不倫。次が聖子のマッサージ師だった男性をマネージャーに据えたことで熱愛と報道され、再々婚も近いと見ていた。だが、聖子が再々婚に選んだのはまた歯科医師。12年6月に今の夫である歯科医と三度目の結婚したが、発表のタイミングが絶妙だった。「毎年、聖子は6月からコンサートツアーが始まる。それに合わせるようにプライベートネタを提供する。ツアーは必然的に盛り上がる。スキャンダルがそのまま人気の下落につながるAKB48やジャニーズとは違い、聖子のプライベートは話題となりコンサートはさらに盛り上がった。その人気は、ディナーショーはチケットが即日完売するほど。対照的に二世タレントとしてデビューした沙也加はおいてきぼり状態で、伸び悩んでいた。この頃から親子の確執問題が取沙汰されだした。聖子のプライベートネタは男性から娘との確執へと移った。

 大人になった沙也加は行動に出る。親離れの手段として大地真央に師事し、ミュージカルスターに方向転換。ようやく日の目を見るようになったと同時に奔放な男遊びも始まっていた。それもみな無名のミュージシャンや役者。聖子はことごとく反対したと言われている。

 父と母が揃っている家庭を知らずに育った沙也加。寂しさから男と遊ぶようになったというのが大方の見方である。

 今回の結婚も母親を無視して決めたのは、彼を紹介しても反対されるに決まっているとの判断だろう。父親の神田を前面に出したのも、父親からは“お墨付き”をもらっていると聖子に対してのアピールだろう。

 聖子は祝福のコメントを出すこともなく無言状態を続けていることから、沙也加の結婚でも聖子が報道の主役となった。多くのメディアは「親子の確執」「聖子は結婚を認めていない」などと報じる。すると、一方で、「すでに沙也加は聖子に報告済み。聖子が出ると目立つので避けている」と正反対の報道も出始めている。これが聖子の自己プロデュース力である。聖子はこれまでのスキャンダル報道でも、反応すること、とくにに反論したことはほとんどない。それでも週刊誌は本人不在のまま報じる。かつての神田との離婚関連では、「離婚する、しない」。娘の結婚では「沙也加から報告を受けている、いない」と報道は二つに割れる。聖子は高みの見物。

 世間の関心度は高まり週刊誌は売れ、聖子人気は不動になる。これが聖子流の週刊誌有効利用方法である。

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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