>   >   > コスメ業界のタブーな舞台裏【1】/広告が作り出す【美容業界】の虚像

――世にあまたある化粧品とともに、そのブランド数も無数にあるコスメ業界。彼らは広告費を大量投下することでそのブランド力を作り上げている。その裏には美容業界最大のタブーとも呼ばれる生産体制のカラクリがあるのだという。化粧品を受注生産するOEM業者と、業界構造を解き明かす。

美容商材と広告が作りだす夢ビジネスの虚像――売れ筋コスメも裏側は全部同じ? 美容業界最大タブーOEMと広告の画像1
別々のメーカーに見えても、実は同じ工場で作られてるかも?

 有名人やモデル、またはインフルエンサー(SNSなどで影響力のある有名人)を起用し、メディアに莫大な広告費を投じて製品をアピールする化粧品業界。対売上高の割合で見た時に、その広告費への投資は他の産業の追随を許さない。一体なぜなのか。

「その謎を紐解くカギは、OEM生産体制にある」。化粧品の商品企画・開発に携わるA氏は、そう業界事情を話す。

 化粧品は化粧品ブランドが作っている――。一般にそう考えられている常識には、ある意味大きな誤解がある。もちろん資生堂、花王、カネボウ化粧品、ファンケル、DHC、コーセー、ロート製薬など大手メーカーは自社工場を持ち、オリジナル製品の研究・開発に勤しんでいる。しかし、店頭に並ぶすべての製品が彼らによって“製造”されているわけではない。その多くが、相手先ブランド名製造業者(以下、OEM業者)、つまりアウトソーシングによって賄われている。驚くべきはその割合だ。

「ドラッグストアに並んでいる化粧品のOEM比率は、おそらく誰も測ったことがないはずです。ただ僕の知る限りだと約8割がOEM製品。そこまで行かなくとも、化粧品を販売する企業(以下、販売元)の自社工場で作られているいわゆる“純正品”は、巷で認識されているよりはるかに少ないというのが現状です」(A氏)

 日本の化粧品OEM産業全体の市場規模は約2400億円。約1000社の業者がいると言われている。業界大手は、日本コルマー、東洋ビューティ、日本色材工業研究所、東洋新薬など。それぞれ、メークアップ化粧品(口紅やマスカラ、ファンデーションなど)、スキンケア化粧品(クレンジング、洗顔料、化粧水)、ヘアケア化粧品(シャンプー、コンディショナー)など、各OEM業者によって得意とする分野が異なる。

 化粧品業界におけるOEM生産体制は、他の業種のそれと違わない。スマホや衣料などと同様に、販売元はOEM業者が作った製品を買い取り、ブランドなど付加価値を加え店頭で販売するという流れだ。

「ある製品を作るとして、販売元が『こういう化粧品で』と依頼する場合もあれば、OEM業者が企業側に製品内容を提案する場合もあります。そこは、ケースバイケースでしょうか」(業界関係者B氏)

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 販売元がOEM業者にアウトソーシングするのには、いくつか理由がある。まずひとつがコストカットだ。場合によりけりだが、販売元が自社で開発するよりOEMのほうが製造費を安く抑えられる。2つめはリスクヘッジ。自社工場で開発するとなると、トラブルの際に商品全体の品質や目標生産数に支障が出てしまう。そして最後に技術力。OEM業者は、化粧品を作る技術を日々蓄え、ノウハウも豊富に蓄積している。時に、化粧品作りの技術が大手企業よりも高いケースも少なくない。そのため、販売元は安定・高品質な製品を製造してくれるOEM業者を頻繁に頼るというわけだ。

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