>   >   > オトメゴコロ乱読修行【22】/『紙の月』女の正義は状況や気分によって容易に更新される
連載
フィクションで解剖――オトメゴコロ乱読修行【22】

【『紙の月』】 不倫女は“男に飢えた下半身のユルいアバズレ”なのか?

+お気に入りに追加

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

1702_otome1702_200.jpg

 振り返れば、2016年は猫も杓子も不倫の年だった。ゲスの極み乙女。・川谷絵音×ベッキーを皮切りに、桂文枝、乙武洋匡、宮崎謙介元衆院議員、ファンキー加藤、石井竜也、三遊亭円楽、荻上チキ、中村橋之助、浦沢直樹(疑惑も含む)。

 というわけで、ちょうどよい機会なので今回は女性が不倫に至る心境を考察してみたい。それに持ってこいのテキストが、角田光代の原作を宮沢りえ主演で映画化した『紙の月』だ。

 宮沢が演じるのは、契約社員として銀行の外回り業務を担当するアラフォー既婚女性・梅澤梨花、子供なし。自転車で地域の個人顧客を回り、金融商品を勧めるオバちゃんだ。そんな梨花が、顧客の孫である大学生の光太(池松壮亮)と不倫に至る。しかも梨花は光太のために、計画的かつ長期にわたって銀行の金を横領するのだ。

 一見して地味で真面目な女性として描かれている梨花が不倫と犯罪に至った経緯は、2ステップある。まずはステップ1、自分が夫に「選ばれていない」不満だ。梨花の夫・正文(田辺誠一)は出世コースに乗っているとおぼしきサラリーマンで、浮気やDVの気はない。家庭内は至って平穏。夫婦関係に綻びはない、ように見える。

 しかし正文は、努力して試験に合格し、パートから契約社員に昇格した梨花を、まったく評価していない。梨花は契約社員になった記念に夫婦ペアの腕時計(各3万数千円)を買い、喜々として正文に報告する。だが正文は後日、海外出張土産として、その何倍も高いカルティエの腕時計を梨花にさらっとプレゼントするのだ。無論、梨花の自尊心はズタズタ。大奮発して買った自分ヘの勲章を、一瞬で矮小化されたのだから。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2017年12月号

映画のミカタ

映画のミカタ
    • 【ハリウッド】の性接待(禁)事情
    • 男女問わず性生活を楽しんだ【ドロシー】
    • 仕事のついでにHした【マリリン・モンロー】
    • マーベル無許可の【スパイダーマン】
    • 女でも容赦なしの【イタリアンスパイダーマン】
    • 映画における【ゾンビ】進化論
    • 映画の【ゾンビ】はこうして進化した!
    • 【ラテンアメリカ】の闘う革命映画
    • 【キューバ】とハリウッドの関係
    • 【間宮夕貴】ロマンポルノに魅せる!
    • 斜陽産業【ピンク映画】最前線
    • 【ピンク映画女優】緊急座談会
    • 2017年【日本映画】裏事情
    • 【ジャニーズ】ゴリ押しで邦画が危機!?
    • 【人種差別描写】の変遷
    • 【LGBT描写】を可にした『ムーンライト』
    • タブーなき【差別映画】闘論史
    • 常識を覆した【ディズニー】
    • 日本公開不能な【反日映画】
    • 【軍艦島】の国内批判
    • 【スパイ映画】の敵役と国際情勢

チラリと魅せる和モノ写真進化考

チラリと魅せる和モノ写真進化考
    • 【彩川ひなの】ハレンチボディを毛布で包む

真木しおり、Gカップのリムジンパーティ

真木しおり、Gカップのリムジンパーティ
    • 【真木しおり】爆乳JKのお戯れ

NEWS SOURCE

    • 【安倍首相】側近が仕掛けた衆院選戦略
    • 【キムタク】が東野圭吾の原作にダメ出し!?
    • 【紗栄子】の芸能界処世術

インタビュー

    • 【井本彩花】美少女コングランプリは未来の大物!
    • 【原田眞人】『フルメタル・ジャケット』から学ぶ映画論
    • 【峯モトタカオ】次世代打楽器ハンドパン

連載

    • 【橋本マナミ】いつかさらわれたいんです。
    • プレ東京五輪で優勝した期待の自転車選手
    • 【小島瑠璃子】好きになってもいいですか?
    • 高度に発達した【広告技術】の真実
    • 里美ゆりあ、さかもと未明、小池百合子の共通点は?
    • 【BOSS THE MC】20年間〈トーク〉をやめなかった男
    • 【アニソン音頭】が列島を制覇する
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【クライヴ・デイヴィス】黄金の耳を持つ名物社長
    • 【山尾志桜里】当選に見る政治史
    • 脳を破壊する【ロボトミー】ノーベル賞の理由
    • 町山智浩の「映画でわかる アメリカがわかる」/『女神の見えざる手』
    • 国民はなぜ「現状維持」を選んだ――【衆議院選】の総括
    • 小原真史の「写真時評」
    • サザエのアンチエイジング
    • ジャングルポケット/毎分1万5000回転!ハードすぎるローターがスゴイ!
    • 【半沢直樹】夫婦間呼称問題、セレブ妻が見せた女性側の内紛
    • エロいラップをする女性ヒップホップグループ
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、文化の墓泥棒が集う映画館で。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』