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連載
丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【42】

【ブルーノ・マーズ】往年のWWE王者を名乗る太平洋諸島の童顔天才!

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『24K Magic』

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ブルーノ・マーズ(販売元:ワーナーミュージック・ジャパン)

全編に溢れるのは、80年代から90年代前半までのブラック・ミュージックへの絶大なリスペクト、そして異常な完成度。聴いていて涙が出る。前々回の本欄で紹介したベル・ビヴ・デヴォーの「Poison」そっくりのドラムで始まる「Finesse」にしびれる。ジャケットのセンスの悪さにもしびれるが、これはまあこれでいいのだろう。


 アンドレ・ザ・ジャイアントと名乗るラッパーがいる……と言ったら、昭和プロレス・ファンは驚くだろうか。

 正確には、アンドレ・ザ・ジャイアントそのままではなく、アーティスト名は略して「AG」だ。このAGがニューヨークを根城とするヒップホップ・クルー〈DITC〉の一員であることを知れば……NYの地方団体だった頃のWWF(現WWE)に君臨し、「NYの帝王」と呼ばれたアンドレ・ザ・ジャイアントの名前を拝借した気持ちも納得できるかもしれない。

 必ずしも「黒人にはプロレス・ファンが多い」ということではない。むしろヒップホップ・カルチャー、そしてアフリカン・アメリカン文化に脈々と受け継がれる、「あだ名や変名に工夫を凝らす気風」の証明だろう。

 さて、そのWWFの最長期チャンピオンといえばブルーノ・サンマルチノだ。60~70年代のWWFを象徴するイタリア系アメリカ人レスラーである。そんなブルーノ・サンマルチノに由来する名で通っている当代随一の人気アーティストがいる。だが彼はラッパーではなく、アフリカ系でもなく、アメリカ「本土」出身でもない。

 ハワイはホノルルで生まれ育ったブルーノ・マーズの本名は、ピーター・ジーン・ヘルナンデス。だが2歳の時、父親が「うちの子は、なんだかブルーノ・サンマルチノに似ているな」と言って、彼をブルーノ呼ばわりし始めたのだという。幼児にして、どれだけ顔がゴツかったのか……と心配になるが、プリティボーイに育ってよかった。

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