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第2特集
春画、不幸なる近現代史【6】

【春画の近代史05・平成期~現代】“拒絶”する美術館――いまだ一般展示ならず永青文庫“騒動記”

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『春画 EROTIC ART IN JAPAN- 大英博物館所蔵』(平凡社)

 我が国のアカデミズムにおける受容が徐々に開始され、彼の国の世界的美術館で展覧会が成功裏に終わろうとも、この国の美術館は門戸を開かなかった。それはなぜなのか?

 2013年秋から2014年にかけて、イギリス・大英博物館で、3年半にわたる国際研究プロジェクトの集大成として、春画展「Shunga:Sex and Pleasure in Japanese Art」が開催される。16歳未満は保護者の指示を仰ぐことという年齢制限付きだったが、3カ月間で入場者8万7000人を超える大成功を収めた。

「その後の日本での苦労と比して大英博物館では滞りなく開催できたように見えるでしょうが、実は大英でもスポンサーがなかなかつかなかったんです。日本美術の展覧会なのだから、普通なら日本の大手企業が金を出すはずなんですが、『春画だから』とどこも手を挙げない。で、2011年夏、大英博物館アジア部門で日本セクション長のティモシー・クラーク氏とロンドン大学のアンドリュー・ガーストル教授が私の春画コレクションを調査しに来た際、誰かスポンサーはいないか、日本の美術館でも展示してくれるところはないかといった話になった。最終的にスポンサーについては、僕と東京美術倶楽部会長の淺木正勝氏が私財を出し合って送金。そして日本の美術館は、我々が20以上当たりましたがすべて断られてしまったんです」(浦上氏)

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