>   >   >  月刊カルチャー時評/『聲の形』
連載
サイゾー×プラネッツ『月刊カルチャー時評』VOL.54

『聲の形』――『君の名は。』の陰で善戦する京アニ最新作が、やれたこととやれなかったこと

+お気に入りに追加

――批評家・宇野常寛が主宰するインディーズ・カルチャー誌「PLANETS」とサイゾーによる、カルチャー批評対談──。

宇野常寛[批評家]×稲田豊史[編集者/ライター]

1612_planets01_230.jpg
原作マンガ『聲の形』1巻。13年に「別冊少年マガジン」にて連載を開始し、14年12月に最終巻となる7巻が刊行されている。

『君の名は。』が大ヒットする陰で、興行収入20億円を突破したアニメ映画が誕生している。『けいおん!』などで知られる京都アニメーションが製作した『聲の形』は、聴覚障害者の少女と、彼女をいじめた過去を持つ少年、2人を取り巻く友人たちの人間関係を描いた人気マンガの劇場版だ。じわじわと数字を伸ばす同作が、描き出すのに成功したものとは何なのか?

宇野 前提として、僕は原作(連載版)を読んでいたときに、後半になるにつれて舵取りに失敗した作品だと思っていたんですよね。聴覚障害を持つヒロインを萌え系の絵で描くというある種露悪性のあるギミックを使って、取り扱いの難しい題材にどこまで深く切り込めるか、少年マンガの枠組みの中で挑んだ、かなり偉大な冒険作ではある。具体的には、どうしてもどこかの部分で絶対的な断絶がある存在と、あるいはどうしても消せない過去とどうやって向き合っていくのかを描きたかったんだと思うんですよ。コンセプトも面白いし、志も高かった。

 でも、原作マンガの後半は明らかに失敗している。あの『中学生日記』ならぬ『高校生日記』みたいな青春群像劇はないでしょう?この設定を用いている意味がない内容だし、描写も凡庸。そして何より、前半で提示したテーマが、この展開で雲散霧消してしまっている。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2017年11月号

ファッション(禁)コレクション2017

ファッション(禁)コレクション2017
    • 【タレントブランド】の内情と成否
    • 【Supreme×ヴィトン】コラボの裏側
    • 【ダニエル・ウェリントン】バカ売れの謎
    • 【裏原系】人脈のその後
    • 【遠山茜子】B-GIRLになる!
    • 【インスタグラマー】の熾烈な戦い
    • 【IT】が進むファッション業界の未来
    • インスタの太鼓持ち【女性ファッション誌】
    • 【デーブ・スペクター】が語るトランプのスーツ
    • 【メラニア夫人】への衣装提供拒否の裏側
    • 【ZOZO】の好きな所、嫌いな所
    • 【ファッション史】から見るゾゾ
    • 【送料自由化】を物流の専門家が分析
    • 【メルカリ】が勝った本当の理由
    • 【メルカリ出品者】が語る闇市の姿
    • 【ホットペッパービューティー】の罠
    • 【スポーツアパレル】がパリコレ占領中
    • 【ナイキ】の最先端戦略を覗き見!
    • 【高級機械式腕時計】はなぜ高い?
    • 【スマートウォッチ】台頭は吉か?凶か?

本誌特選!8人の(サ)な女たち

本誌特選!8人の(サ)な女たち
    • 歴代カバーガールグラビア傑作選

山地まり、大人Kawaiiレトロモダン水着

山地まり、大人Kawaiiレトロモダン水着
    • 【山地まり】Fカップとレトロ

NEWS SOURCE

    • 【安室奈美恵】引退宣言で揺れる音楽業界
    • 【市川海老蔵】と松竹の懐事情
    • 【ジュリーさん】がアベマ企画に大激怒

インタビュー

    • 【吉田まどか】福岡女のシンデレラストーリー
    • 【CASCADE】元祖おしゃれ系バンドの今
    • 【CHAI】女たちが追い求めるかわいい

連載

    • 【今野杏南】これで最後なんです。
    • 【佐藤江梨子】政治性が響くモンパチの歌
    • 【長澤茉里奈】合法ロリ生春巻き
    • 【斉藤由貴】スローな由貴でいてくれ
    • 【インターネット】への誤解がもたらす日本の危機
    • 【特別編】九州に格闘技界旋風起こす男
    • 【元・モー娘。】歌よりも正直なトーク
    • 【三波春夫】が2017年に蘇る
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【フレンチ・モンタナ】モロッコ系最強ラッパー
    • 【電通過労死事件】から考える労災
    • 【治療共同体】で精神病院を開放せよ!?
    • 町山智浩の「映画でわかる アメリカがわかる」/『バリー・シール』
    • 世界一災害に弱い【東京】備えなき首都大災害
    • 小原真史の「写真時評」
    • 赤い屍と緑のタヌキ
    • ジャングルポケット/フェラペチーノで自分好みのプレイを!
    • 【最高の離婚】夫婦の溝を埋める最良のテキストドラマ
    • ボディペインティングが導く愉楽
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、政治と信仰と破綻の円環構造。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』