>   > 【エロの価値】はどこにあるのか?

――19世紀初頭に始まったとされる写真の歴史。それから200年。「見たままを記録できる」ものとしてのその歴史は、常にエロティシズムと共にあった。すなわち女性の裸体、ないしそれに類するものを被写体とする写真は、写真の誕生以降、常に量産されてきたものなのである。それは、欲望がダイレクトに反映されていればこそ、ときに人間そのものが投射される。すなわち、アートとなる。そこで考察してみよう。「エロ」が表現された写真の最前線を!

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雑誌「GORO」の1976年第13号。表紙はアグネス・ラム。まだ、メディアを通してしかセクシー写真を享受できなかった時代だ。

 なんの前置きもなしに「セクシー写真」といったとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、女性タレントやアイドルの水着ショットといった、いわゆる「グラビア」写真だろう。1970年代、アグネス・ラムの登場によって広く一般的に認知されるようになったといわれる「グラビア」の世界。74年に創刊された「GORO」(小学館)をはじめとする男性総合誌、週刊誌や青年マンガ誌のカラーページなど雑誌メディアを中心に展開、普及した「グラビア」の世界は、その後、80年代のアイドル・ブームを下支えし、90年代には社会現象となったヘアヌード・ブームを牽引する。さらには、「グラビア」を専門とする「グラドル」という言葉が生まれるなど、いわゆる「エロ本」とは異なるセクシー写真のメインストリームとして、「グラビア」写真は広く認知され、多くの男性に親しまれるようになったのだ。しかし、90年代の終わり頃から、そんな「グラビア」の世界は、ある変革の時期を迎える。あるベテラン編集者のA氏は言う。

「日本のグラビアの世界というのは、他の国とはまったく違う独自の進化を果たしたジャンルであって、次第にある種の様式美というか、良くも悪くもマニエリスティックなものになっていったんです。私生活では着ないような露出度の高い水着を着た女の子が、ビーチで四つん這いになるなど、日本のグラビアにはお決まりのポーズがある。それはもはやひとつの様式美であり、あくまでも現実とは異なる、男性によるファンタジーの世界。“女性のリアルな一瞬を切り取った”ものとはまったく違うわけです」

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