>   > 【島田さくら】──BLを愛してやまない女弁護士の素顔
インタビュー
弁護士でシングルマザーで腐女子―3つの顔を持つ女

【島田 さくら】「弁護士ものには萌えられないんです……」腐女子な弁護士でシングルマザー、3つの顔を持つ女

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――人は皆、いくつもの顔を持ち、シーンによってそれを使い分けている――さて、テレビ番組でも活躍する美人弁護士の場合は?

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(写真/黒瀬康之)

 現代社会での関心事のひとつ“ワークライフバランス”。男性なら仕事と趣味や家庭の両立、女性なら出産・育児とキャリアの両立など、悩みどころは多い。それが弁護士のような特殊な職業なら、なおのこと──バラエティ番組『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)や『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)などにも出演する注目の弁護士・島田さくらさんは、法律事務所でバリバリ働きながら、4歳の息子を育てるシングルマザーという2つの顔を持つ。さらに趣味はBLマンガを読むことというゴリゴリの“腐女子”なのだ。

「刑事事件を担当する場合は夜に接見に行かなければならなくなったりするので、保育所に泣きついたり、裁判所の前で『あと2時間で迎えに行きます!』って電話したり……。弁護士をしながら子育てをするのは確かにラクじゃないですが、自分では仕事と子育てと趣味を両立しているという意識はあまりないんです」

 そう答える島田弁護士がBLマンガにハマった経緯はこうだ。

「もともとは普通の小説ばかり読んでいたんですけど、ガラケーをスマホに買い替えたときに『スマホってマンガ読めるじゃん!』と気づいてしまって。ランキング本『このBLがやばい!』(宙出版)の上位マンガを次々読んでいったら、ヨネダコウ先生の『どうしても触れたくない』(大洋図書)という作品でドハマりしちゃって……次の日には書店でヨネダ先生の本を大人買いしてました(笑)。もちろん土日は子どもと遊びたいけど、ヒマがあればマンガを読みたいというのも本音です」

 ちなみに、女性弁護士ならではの萌えポイントというのはあるのだろうか……?

「基本、自分の仕事に関係ない作品を読みたいとは思います。弁護士ものや検察官が出てくる作品はどうしてもツッコミを入れたくなっちゃうので。事務所に新しく入ってきた若手がボス弁【雇う側の弁護士】の胸ぐらつかんでキスするとか、“どんな立場のアソシエイト【法律事務所に雇用される形態の弁護士】だよ!?”と(笑)」

 腐女子の趣味を満喫しながらも、子育てと仕事との両立はもちろん大変だ。だが、シングルマザーであることが仕事に役立つ瞬間というのも、確かにあるのだそう。

「民事や離婚調停などで依頼者様の置かれた状況がリアルに理解できるのって、私の弁護士としての長所でもあると思うんです。後の計画も立てず離婚に突っ走っちゃう人も多いんですが、そうした相談に乗るときに、時給いくらで働いて、月いくら稼げても、その前にアパートも借りなければならない……そういう話は私の実体験をもって話せますし、リアルにアドバイスできるんですよね。あとは、女性弁護士って若く見られると損な場合もあるんです。『先生、まゆゆに似てるね!』なんてからかわれたり……(笑)。そういうとき、“子持ち”の肩書で貫禄が出たりするのは、ありがたいなぁと思います」

 女性弁護士としての苦労を抱えながら、子育てに趣味にと奔走する日々が悩みに満ちていることは、想像に難くない。それでも彼女は、この仕事が大好きだという。

「困っている状態にある人に手を差し伸べてあげられる仕事って、世の中にはそんなに多くないと思うんです。案件が終わって、依頼者様から感謝の言葉をもらえたり、そうやって担当した方が、その後の人生報告などをしてくれたりした瞬間は、本当にやりがいがある仕事だな、と思いますね」

 弁護士という仕事が大好きだと笑った顔も、BLマンガを熟読して見せる微笑みも、さらには子どものことを語る穏やかな笑顔も、ひとりの女性“島田さくら”の本当の姿だ。パワフルなその背中は、インタビュー後、池袋の乙女ロードの中へと消えていった。

(文/戸崎友莉)

島田さくら(しまだ・さくら)
1986年、熊本県生まれ。大阪大学大学院高等司法研究科を卒業後、2013年からアディーレ法律事務所で弁護士として働き始める。東京弁護士会所属。司法修習生時代に妊娠・出産を経験し、現在もシングルマザーとして息子を育てている。監修した書籍に『女性のためのトラブル解決 愛とお金と人生の法律相談』(プレジデント社)がある。

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