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連載
佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第96回

長い動画も見せ方次第! VICEの真の革命はニュースの“自分ごと”化

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進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

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『18歳選挙権で政治は変わるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「ネット上で長いコンテンツは見られない」「長尺の動画はスマホでは受けない」と言われることも多々ある中で、その定評を覆していま世界中の若者から支持を受けているのが「VICE」だ。本誌でも何度か取り上げてきたこのメディアが、本当の意味で起こした革命のポイントは、ニュースの目線の変化にあった。

 少し前にNHKが『新・映像の世紀』というシリーズを制作し、この最終回の放送に合わせて、同番組のプロデューサーやディレクターに加えて、水道橋博士とライフネット生命保険の出口治明さんたちと実況しながら話し合う座談会の司会を務めたことがあった。準備として『新・映像の世紀』の第1回から第5回までを、NHKオンデマンドであらためて見返してみた。長い回で1時間12分、短い回は48分程度。質は極めて高く、自分の歴史観を改めたり、アップデートしてくれる気づきがたくさんあった。映画館の大スクリーンで観てみたいと思わせる力作だといえる。しかし一方で、スマホの小さい画面では、長く観続けるのがつらいなあという感覚もあったことは否定できない。これは内容が退屈だったということではなく、逆に、番組が全編にわたって緻密に作られているがゆえに、小さな画面では観ていて疲れてしまうということなのだろう。

 スマホの時代になって、動画コンテンツはどうなっていくのだろうか。もう長い動画は観られなくなって、数分ぐらいの短さに集約されていってしまうのだろうか?

 ここで注目すべき動画メディアがある。「VICE」だ。

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