>   >   > 町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」
連載
町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第102回

『ズートピア』――ディズニー・アニメに隠されたアメリカの多民族社会

+お気に入りに追加

『ズートピア』

1606_machiyama.jpg

あらゆる動物たちが共存する理想郷「ズートピア」。ここでは動物ごとに仕事が割り当てられているが、ウサギの主人公ジュディは警察官になることが夢だった。その夢を叶えた矢先、ある行方不明事件を追うことに。その背後にはズートピアの存続がかかる陰謀が隠されていた。

監督/バイロン・ハワード、リッチ・ムーア、製作総指揮/ジョン・ラセター。公開中。


 ディズニーの新作アニメ『ズートピア』は、人間以外のあらゆる動物が集まってくる大都市ズートピアが舞台。でも、これはおとぎ話じゃない。移民国家アメリカの現状をリアルに反映した映画なのだ。

 ディズニーは昔からそうだった。1955年の『わんわん物語』はレディという血統書つきのコッカースパニエルとトランプという野良犬のラブ・ストーリーだが、レディはWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)の象徴で、トランプは20世紀初頭に移民してきた南欧や東欧移民だ。トランプの仲間の野良犬も、ボリス(ロシア系)やペドロ(ラテン系)。移民の町、ブルックリンで、レディとトランプはイタリア料理を食べるが、レディはスパゲティの食べ方を知らない。当時、イタリア料理はまだ一般化していなかった。

 さて、ズートピアには、ジャングルなら弱肉強食の関係にある肉食動物と草食動物が仲良く平和に暮らしている。それはアメリカのようだ。中国とチベット、ロシアとウクライナ、イスラエルとアラブ諸国など、母国では対立し、殺し合っているような人々でも、アメリカでは隣人として、同胞として暮らしている。だが、多民族社会にはそれなりの礼儀が必要だ。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

人気記事ランキング
  1. 1あばれる君、イモトアヤコ、平野ノラ…生き残るのは誰だ? キャラ芸人を乱発するナベプロ――ブルゾンも使い捨て!? の育成戦略2017.5.17
  2. 2やっぱり不倫はアウト! 全CMが放送中止で渡辺謙が大ピンチ!2017.5.17
  3. 3お台場は今日も火事……河本準一の「生ポ」ネタでくりぃむ有田とフジがまた炎上2017.5.8
  4. 4日本テレビの内定を断ったフジテレビのスーパールーキー・久慈暁子アナ“唯一の弱点”とは?2017.5.11
  5. 5音事協を取り巻く団体のトップは芸能界の重鎮? JASRAC収益は143億円! 音事協と関連団体の“絆”2017.5.22
  6. 6【クロサカタツヤ×角 勝】“不作為”こそ罪 勘違いされたオープンイノベーションのまっとうな始め方2017.5.22
  7. 7メディアへの圧力団体という虚像――タレント肖像権をチラつかせる音事協はタブー団体なのか?2017.5.22
  8. 8裏社会とのつながりを憂慮した歴代のトップたち…芸能界の重鎮が歴任! 音事協会長の履歴書2017.5.22
  9. 9GSと田邊社長が築いた芸能システム――一介のドラマーが芸能界のドンへ! グループ・サウンズから見る芸能史2017.5.21
  10. 10佐々木希と渡部建の結婚に希望を見いだしている独身中年男性は、身のほどをわきまえるべきである。【佐々木】は希の風が吹く2017.5.23
Recommended by logly
サイゾープレミア

2017年6月号

「教育勅語」とはなんだったのか?

「教育勅語」とはなんだったのか?
    • 【教育勅語】の歴史学
    • 【教育勅語】と天皇
    • 【教育勅語】口語訳全文

三上悠亜が語る「アイドルの終焉」

三上悠亜が語る「アイドルの終焉」
    • 三上悠亜「アイドルになりたかった」

インタビュー

連載