サイゾーpremium  > 特集2  > 【消費者庁】介入で再び荒れる市場

――かつてはGREEとDeNAが覇権闘争を繰り広げていたソーシャルゲーム業界は、『パズル&ドラゴンズ』の大ヒットから勢力図が大きく塗り替わった。ついに任天堂やソニーも参戦してきたが、時すでに遅しという見方もある。再びガチャ規制も取り沙汰される中で、次なる覇者はどこか?

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『GRANBLUE FANTASY グランブルーファンタジー GRAPHIC ARCHIVE』(一迅社)

「お前、あいつとグラブってんのかよ」「とりあえず、グラブる?」──最近、テレビでこんなCMを観たことがないだろうか。俳優の菅田将暉や早見あかりを起用した、ソーシャルゲーム『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)のCMだ。

「ソーシャルゲーム」(以下、ソシャゲ)という言葉が耳馴染みのあるものになって久しい。今やソシャゲの市場規模は約7154億円(「ファミ通ゲーム白書2015」より)と1兆円に近づき、コンシューマーゲームの約3209億円(同)をはるかに上回った。スマホアプリのマーケティング会社App Annieの発表によれば、全世界におけるスマホアプリダウンロード数のうち、ゲームが占める割合は40%前後。15年第1四半期には、iOS向けゲームの収益が前年比1・3倍、Android向けでは同1・4倍と、現在も成長中だ。

 念のために述べておくと、「ソシャゲ」という単語が知られ始めた11年頃と今のそれが指すゲームの仕組みは、だいぶ違ったものになっている。日本におけるソシャゲ定着の嚆矢は08年頃の『釣りスタ』と『釣りゲータウン2』という2タイトルのヒット。前者はGREE、後者はモバゲータウン上で配信されていた。その後、『探検ドリランド』(GREE)、『怪盗ロワイヤル』(モバゲー)により、一気に認知されていく。この時期はモバゲータウンあるいはGREEというSNSをプラットフォームとしてゲームが配信され、2社が業界のヘゲモニーを握っていた。その状況が破壊されたのは12年。『パズル&ドラゴンズ』(以下、『パズドラ』/ガンホー・オンライン・エンターテイメント)の大ヒット以降、ソシャゲの構造は大きく変わってゆく。『パズドラ』は、App StoreやGoogle Playからユーザーが直接アプリをダウンロードする「ネイティブアプリ」と呼ばれる形態。アプリは基本無料で、課金はその中で行われる。SNS上の人間関係にひも付けされるのではなく、アプリ内でユーザー同士がつながる。この変化により、「ソシャゲ」の定義であった「SNSとゲームの合体」という要素は後退し、スマホゲーム全体を指す呼称として使われつつあるのが実態だ(むろん現在も、ウェブアプリとして配信されているものもある。『グラブル』もそのひとつだ)。

 冒頭で取り上げた『グラブル』は、サイバーエージェントの連結子会社であり、DeNAと資本・業務提携しているゲーム会社サイゲームスのヒットタイトル。同社は15年9月期決算で、前期比134・2%増の約62億円という数字を叩き出した。親会社サイバーエージェントの15年10~12月の四半期決算によれば、ゲーム事業の売上高は297億円で前年同期比50・7%増、連結営業利益129億円のうちゲーム事業が占める割合は約7割(88億円)と、サイゲームスの絶好調に牽引されている実態が見える。

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