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『林賢一の「ライク・ア・トーキングストーン」』【11】

「麻原貯金」から繰り出される【上祐史浩】の道徳に、もはや「ああいえば、上祐」の影はなく…

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――元放送作家で、現在は脚本家として心機一転活動する林賢一が、生のトーク現場に裸一貫突入! 事務所の大看板・古舘伊知郎を始めとした先達たちが繰り広げるトークライブをレポートする。

今月のトークライブ

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テロ・暴力……混迷の時代を生き抜くには?
未来を切り拓く思想 上祐史浩×鈴木邦男

人物:上祐史浩 日時場所:2016年2月17日 @晴れたら空に豆まいて(代官山)
世界に多発する暴力の混迷の時代を生き抜くにはどうしたらいいのか? サリン事件20年の節目を経て、再びオウム事件、宗教などを振り返り、今思うことを上祐史浩と鈴木邦男が語り合う。


 1995年3月20日、地下鉄サリン事件が起きた。犯人グループであるオウム真理教の中で、麻原彰晃に次いで最も名を残したのは上祐史浩であろう。国土利用計画法違反事件で懲役3年の実刑判決を受けて出所した後、アレフ代表となるも内部分裂により脱退。現在は麻原の教義を完全排除した新団体「ひかりの輪」代表となり、活動を続けている。そんな上祐のトークといえば、「ああいえば、上祐」だ。もしかしたら90年代で、日本一有名なトークかもしれない。記者会見上でマスコミ相手に「サリン被害を受けているのはオウムだ」と詭弁を弄したその話術は、ある種のブームとなった。あれからおよそ20年。彼のトークはどのように進化したのか、鈴木邦男と対話する現場で確かめてきた。

 その日の上祐は袈裟に身を包み、オウム真理教のトリビアを連発することでトークの口火を切った。彼自身が麻原の長女と結婚予定があったこと、当時は麻薬によるイニシエーションが実際に行われていたこと、常に警察から監視されているので日本列島という刑務所から逃げることはできない──等々、オウム真理教絡みの持ちネタオンパレードだ。端的に言って、これらのエピソード力はとてつもなく強い。仮にゴールデンのトーク番組に出演した場合、即採用レベルのパンチ力抜群の話ばかりだ。その刹那、脳内に4文字熟語が駆けめぐった。

「麻原貯金」。

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