サイゾーpremium  > 特集2  > 【井上寿一】帝国憲法も"解釈改憲"の連続だった

――ご登場いただく第2の識者は、日本近代史が專門の歴史学者・政治学者にして、学習院大学学長の井上寿一氏。特に、日本が戦争に邁進した時代ともいえる明治・大正・昭和の外交史に詳しい同氏に、大日本帝国憲法下における政治のあり方、それを踏まえた上での戦後日本の“憲法運用”について話を聞いた。

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『終戦後史 1945-1955』(講談社選書メチエ)

──井上先生は、日本政治外交史が専門の歴史学者であり、学習院大学の学長も務めておいでです。大学における憲法、政治史などの授業では、改憲論議でよく俎上に載せられる「押し付け憲法論」にも言及するのですか?

井上 そうですね。憲法学としては「押し付け」をどう解釈するのか、政治学としては、「GHQが1週間で憲法草案を作った」とされるのであれば、その事実を戦後政治史の上でどう位置付けるのか、といった具合に。

──いわゆる“定説”みたいなものを教えるのでしょうか?

井上 定説、ないし多数説はありますけど、あえていうと、学問は多数決で決めるものじゃないでしょう。むしろ少数意見も尊重するのが学問だし、そういう意味では多数説うんぬんにかかわらず、大学は学生に対して、「自分はこう考える」という態度を推奨しているはずです。

──なるほど。では、井上先生は日本国憲法の制定過程を、日本政治史の上でどのように位置付けているのでしょう?

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