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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【4】

幽霊、テレビの国からギラギラする。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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名著だが、テレビバラエティの現在を測るには足りない部分も多し。

 墓の下にラジオはあってもテレビはないので、テレビバラエティも長いこと観ていなかったが、這い出してからはよく観ている。家族がバラエティばかり観ているからだが、チャンネル争いにならないのはマツコ・デラックスとビートたけしの番組、あと『笑点』『ヨルタモリ』だけだ。『ザ!鉄腕!DASH!!』ですら『大改造!!劇的ビフォーアフター』が2時間ワイド編成になると罵声が飛び交い、血の雨が降る。どんな家だ。

 1990年代はテレビバラエティを積極的に観ていなかった。たけしやさんまといった80年代のスター芸人がマンネリ化していたからだが、台頭した若手がそれに代わるとは思えなかった。ダウンタウンやウンナンはそれなり、ナインティナインはさっぱり、という印象で。

 それでも彼らはスターになったので、もしかしたら記憶違いかと思ったのだが、たまたま『ナインティナインのオールナイトニッポン』を聴いて驚いた。その異様な辛気臭さに。次の瞬間、ラジオのダイヤルを静かに『おぎやはぎのメガネびいき』へ戻した。

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