>   > 女性学者が分析する【男子アイドル】

――EBiDAN人気を支える多くの女性ファン。彼女たちをそのような行動に駆り立てるものは、はたしてなんなのか? そこからかいま見える、昨今の社会状況の変化とは?若年女性のカルチャーを、社会学・フェミニズム等の立場から多角的に分析し続けている気鋭の女性学者が、戦後女性史を踏まえ、熱狂的なEBiDAN現象を読み解く!

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『超特急 1st PHOTO BOOK トゥリマカシ・サマSummer』(主婦と生活社)

 1975年の論稿においてローラ・マルヴィは、映像と視線の関係に示される権力構造について問題提起を行った。映画とは、「見る主体」である男性と「見られる客体」である女性との間に広がる不均衡な権力関係であり、映画的なスペクタクルとしての女性身体の表象と商品化であると。

 それからおよそ25年。02年日韓W杯で起こったのは、「見る主体である男性」と「見られる客体である女性」という関係の転倒だった。韓国のジェンダー研究を牽引する金賢美は、スポーツ観戦の場でイケメン選手たちに声援を送ったアジアの女性たちについて、こう記した。

「いままでの『見られる側』としての立場ではなく、男性の身体を『見る側』として女性が登場するようになったことは、『まなざし』を通じた男女間の権力関係に亀裂を生じさせることとなった」(金賢美、坂本千壽子訳「2002年ワールドカップにおける〈女性化〉と女性〈ファンダム〉」、『現代思想』31巻1号、03年)

 むろん、かねてより女性たちはビートルズに熱狂し、アラン・ドロンに嬌声をあげてきたのだから、男性のアーティストや俳優やアスリートたちに群がる女性が、最近になって急に出現したわけではない。過去から現在に至るまで、実際には多くの女性が「主体的」に男性をまなざし、盛んに消費してきた。だから、映画や舞台、スポーツ観戦といった「見る/見られる」という関係の中、女性が主体として位置づけられること自体はさして新しいことではないかもしれない。

 とはいえ、1990年代半ばを境に、大きな違いが生じたようにも感じられる。それは、自分で稼いで自分で使うという「自給自足型の消費主体としての女性」の急増だ。総務省「労働力調査(基本集計)」(平成25年)によれば、25歳から34歳までの結婚・子育て期に当たる時期の女性労働力人口比率は、42~43%まで落ち込んだ昭和50年に比べ、平成25年には70%台にまで上昇している。

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