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佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第86回

「選ぶ」煩わしさから人類を解放する、デザインの次なるブレイクスルー

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進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

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『USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略』(翔泳社)

 物も情報もあふれ返る社会にあって、何を選ぶかは楽しい場合もあれば、面倒くさいことでしかないときもある。そうした煩わしさから、テクノロジーの力によって解放されるとしたら? デザインとテクノロジーが次に目指す領域の可能性を探る。

 デジタルマーケティング会社HUGEのCEOアーロン・シャピロが、予測デザイン(anticipatory design)という概念を提唱している。同社は、ナイキやレクサス、グーグル、ペプシ、ファイザーなどの名だたる多国籍企業のマーケティング戦略を構築している企業。シャピロは『USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略』(翔泳社)という書籍の著者としても知られていて、ネット時代にどのようにして企業側が消費者の体験をうまく設計すればいいのかを説いてきた人だ。彼はこれを「ユーザーファースト」という言葉で説明しているが、予測デザインという概念は、これをさらに推し進めたものといえる。

 シャピロは「デザインにおける次の大きなテーマは何か? それは選択を減らすことである」と題したウェブの記事で、こう書いている。

「デザインとテクノロジー分野における次の大きなブレイクスルーは、我々の生活から不要な選択肢を消滅させてしまい、本当に必要なものだけを決めてくれる代理人になっていくということだ。これが予測デザインという考え方である」

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