サイゾーpremium  > ニュース  > 芸能  > 女優・グラドルのうれしはずかしCDレビュー【3】

――「女優・グラドルのうれしはずかしCDレビュー」最終回は、グラビアアイドル編。胸がでかけりゃ声量にも比例する、なんて甘い世の中ではありません。しかし、中には「そのボディよりもわがままな声をしてやがる!」なんて隠れた才腕を発揮するグラドルも。ボディも大事ですが、彼女たちのボーカルにも一度、お耳を傾けてみては?

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■細川ふみえ
「スキスキスー」(1992年)
歌唱力:☆
黒歴史度:☆☆☆☆

 巨乳グラビアのパイオニアがPIZZICATO FIVEの小西康陽プロデュースで発表したデビュー曲。安達祐実「どーした! 安達」同様、編曲は福富幸宏が担当し、ポップなハウスアレンジが施されたダンスミュージックとなっている。曲のほとんどが「スキスキスー」しか言っていない単調な内容だが、妙に中毒性が高め。セカンドシングル「にこにこにゃんにゃん」、サードシングル「だっこしてチョ」では石野卓球と朝本浩文という、これまたダンスミュージックに長けたスキルを持つ2人が楽曲を提供。特に後者はオランダ生まれのテクノミュージックの派生である〈ガバ〉が採用され、あまりのぶっ飛び具合に、当時クラブで飛び道具的にプレイされたほど。それもきっと、ダンスミュージックへの造詣も深くなく、壊滅的に歌がへたくそである細川ふみえだったからこそかもしれない。


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■MEGUMI
「見上げてごらん夜の星を」(2003年)
歌唱力:☆☆☆
黒歴史度:☆☆☆☆

 グラビア界を席巻し、イエローキャブ全盛期を支えたMEGUMIのデビュー曲。タイトルからもわかる通り、坂本九の名曲をレゲエ・アレンジでカバー。もともと歌手志望だったこともあり、歌唱力はそれなりに問題はなかったものの、どこか鼻につく「私、歌、うまいでしょ」感が仇となったか、売り上げは1000枚前後と大惨敗。その後もレゲエを基調とした楽曲をコンスタントにリリースしていくが、バラエティ・タレントとしての評価とは反比例し、歌に対しては見向きもされなかった模様。翌年リリースされたデビュー・アルバム『Love All Play』は、小室哲哉時代を終えて、〈第二期安室奈美恵ブレイク〉を作り上げた敏腕プロデューサー、Nao’ymtなどが参加した、サウンド的には前衛的なプロダクションであったが、こちらも残念な結果で終わってしまった。


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■リア・ディゾン
「恋しよう♪」(2007年)
歌唱力:☆☆
黒歴史度:☆☆☆

 〈グラビア界の黒船〉のキャッチフレーズで彗星のごとく登場したリア・ディゾン。2007年、『アメトーーク!』(テレビ朝日)で「リア・ディゾン大好き芸人」が組まれるほど支持を集めた結果か、予定調和のように同年にシングル「Softly」で歌手デビューを飾る。デビュー曲こそおとなしいポップバラード調の曲だったが、抜群のスタイルを生かしたダンスで魅了する今作で本領発揮。エモーションズの往年のヒット曲「Best Of My Love」を彷彿とさせる楽曲のクオリティはなかなかだったが、案の定、歌番組における生歌のクオリティはいたたまれないものであった。後のシングルにはPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースでおなじみの中田ヤスタカによるリミックスもお披露目となり、ネットでは「間奏だけで本気を出す中田ヤスタカ、さすが」と太鼓判を押されている。


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■吉木りさ
「ボカロがライバル☆」(2012年)
歌唱力:☆☆☆☆
黒歴史度:☆

 08年に坂本冬美「夜桜お七」のカバーで歌手デビューを飾った吉木りさ。母親の影響で幼少期から民謡をたしなんでいたこともあり、歌のスキルは高め。セカンド・シングル「Destin Histoire」は〈yoshiki*lisa〉名義で発表し、民謡スタイルとは打って変わったロリ声スタイルで挑み、アニメ『GOSICK -ゴシック-』(テレビ東京)のオープニング曲ということも相まって、アニヲタから一定の評価を得る。そんなロリ声を見事に領したのが、ももいろクローバーZのプロデュースで名を上げたヒャダインこと前山田健一が手掛けた今作(名義は〈吉木りさ〉としてリリース)。完全に前山田印のサウンドになっているが吉木との相性は抜群で、民謡歌手としてのスキルも楽曲にフィーチャーするなど、この一曲で吉木りさの歌い手としての魅力が存分に伝わってくる。


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■手島優(「爆乳金」名義)
「ダンシング乳房」(2013年)
歌唱力:☆☆
黒歴史度:☆☆

 ある時は〈爆乳戦隊パイレンジャー〉のリーダーとして、またある時は〈爆乳三国志〉の一員として、さらにある時は〈爆乳ヤンキー〉のメンバーとして「夜露死苦おっぱい!」とマイクを握る手島優。おっぱいを全面に推したグラドルだけあって、今回紹介している楽曲の中でも、極めて職種にド直球仕様の歌手活動(という名の企画もの)。「ダンシング乳房」は、手島優が“爆乳金(ばくにゅう・ゴールド)”名義で発表したソロ曲で、前述の曲を含め、すべてがユーロビートを基調とした企画色強めの楽曲である。しかし、「揺れるダンシング乳房 ダンシング乳房♪ ララライ ララライ アーン(ハート)」など、ド直球加減の歌詞は実に潔く、地味にハマってしまう謎の中毒性を秘めている。何気にグラドルの歌手活動は、「私、もともと歌手志望だったんです!」といった本格派志向が多いなか、手島優のわかりやすさはある意味、貴重。


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■南 明奈
「とんちんかんちん一休さん」(2007年)
歌唱力:☆
黒歴史度:☆☆☆☆

「グラドルとして売れていて、バラエティでも重宝されていれば、とりあえずなんか歌わせとくか」という安易な業界のルールによって誕生した一曲。「一休さん」のカバーという体裁からか、境内でほうきにまたがって歌うシーン、イメージビデオよろしく水着姿ではしゃぐシーン、そして無意味なレコーディング風景(こういうシチュエーションを入れるのが最低限のマナーとでも勘違いしているのだろうか)という構成で作り上げられたPVは、「まあ、南明奈はかわいい」という印象のみで、それ以外はまったくなんの感情も沸かない。「度胸は満点だよ一級品」と歌っているが、確かにその歌唱力で歌おうと思った度胸は一級品だが、クオリティは三級品以下の残念な作品である。


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■小野真弓
「春」(2004年)
歌唱力:☆☆
黒歴史度:☆☆☆

 観月ありさ同様、〈尾崎亜美プロデュース〉というぜいたくなバックアップで歌手デビュー。彼女のグラビア仕事にも通じる〈ナチュラルほのぼの系〉なサウンドで攻めてみたものの、グラビア界での評価同様、「可もなく不可もなし」といった具合で、特筆すべき部分は特に見当たらない。「ホットミルク」では作詞に挑戦し、果敢に歌手活動への意欲を見せるも、「ひとつじゃない So/好きは嫌いとEqual/運命だって偶然だって 会えたってことはReal」といった、日本語詩の中にシレッと英語を潜ませる寒さは、彼女の「作詞と言えば!」という思考が昭和で止まっている証拠か。世間の目は冷酷で、「アコムの人」「佐々木蔵之介と熱愛の人」というイメージを払拭するほどのインパクトを残せず、まったく見向きもされずに歌手活動は1年という短期間で終了した。


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■篠崎愛
「A-G-A-I-N」(2015年)
歌唱力:☆☆☆☆
黒歴史:0

 だらしなエロいむっちりボディとは裏腹に、本格的なボーカルのギャップが話題の篠崎愛。08年にプリンセス・プリンセス「M」のカバーで歌手デビューを果たしたが、鳴かず飛ばず。グラドルのデビュー曲がカバーか企画色濃いめかの二極化される理由は、そもそも歌い手として成功すると思っていないからなのだろうか? しかし、7年後の今年15年、インディーズながら本作「A-G-A-I-N」で歌の舞台へ再登板。三浦大知やw-inds.、柴咲コウ、果てには少女時代までの作詞を手掛けるカミカオルが歌詞を担当。サウンドプロダクション的にも非常にクオリティが高く、「篠崎愛」という先入観を取っ払って耳にすると、「幼少期から洋楽に慣れ親しんできたシンガー・ソングライターの曲」と受け止められないこともない出来。谷村奈南が果たせなかった「スキルがあって成功を収められる巨乳シンガー」の夢を実現していただきたい。


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■インリン・オブ・ジョイトイ
「堕落のбашня(バーシニャ)」(2005年)
歌唱力:☆☆
黒歴史度:☆☆☆

 質感からにじみ出る安っぽさ、あらゆるシチュエーションで常に水着で女豹ポーズ&M字開脚、サービス精神旺盛な入浴ショット、1日みっちり覚えれば習得できそうな簡単なダンス、カラオケ映像によく出てくる安いドラマを見ているかのような構成、まさにグラビアアイドルの典型的なミュージックビデオが秀逸な今作。グラドル歌手デビューのジャンルの定番、「ロック or ユーロビート」の前者を選択するも、〈エロテロリスト〉の異名を持つ彼女でも、歌の世界ではテロは起こせなかった模様。しかし、レーベルの担当者が敏腕だったのか、制作陣やリミックスには恵まれており、その真骨頂か、まだブレイクする前のDJ KAORIの楽曲「Be My Lover!!」で、DOBERMAN INC(現在はDOBERMAN INFINITY)と共演を果たしている。が、特に目立ったパートもなく、「歌えないグラドルは歌わないほうがよかった」の典型でもある。


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