サイゾーpremium  > 特集2  > もはや下請け工場じゃない【韓国アニメ】事情

――ファンによる消費だけでなく、制作現場としても注目されるアジア圏。特に韓国は、作品も含めて、関係者の一部から注目を集め始めている。ここでは現地の状況をちょっとだけ覗いてみよう。

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その高いクオリティが、日本の映画制作者からも注目を集めている『Green Days~大切な日の夢~』。

 韓国では日本のアニメに対する関心が非常に高く、掲示板サイトなどでは日々、『ラブライブ!』や『アイドルマスター』『Fate』などの日本のアニメが熱く語られている。残念ながら、その視聴方法の大半が、違法ストリーミングやダウンロードなのは褒められた話ではない。しかし、彼らの情熱は強く、人気アニメなどは放送から数日後には、字幕付きでしっかりと動画サイトにアップされるほどだ。

 他人の畑から野菜を美味しくいただいているのが韓国オタクの現状で、自分たちの畑から自給自足することはできていない。なぜなら、韓国産アニメの主流は、『ポンポンポロロ』を代表とする児童作品だからだ。

 いつか空を飛びたいと願い、いろいろなことに挑戦するペンギンの男の子を描いた同作は、2003年の放送開始以来、老若男女を問わない人気から、韓国で“ポ大統領”と呼ばれるほどの絶大な支持を受けている。

『ポロロ』はフランス最大手放送局TF1を筆頭に、世界130カ国で放映される世界的な人気コンテンツとなった。韓国ではこれに続けとばかりに、多くの児童向けアニメが制作され、『ザ・エアポート・ダイアリー』や『ロボカーポリー』などが、一定以上の成功を収めている。

 こうした、幼児向けアニメの人気に伴い、韓国文化体育観光部は15年から19年にかけての「アニメーション・キャラクター育成のための中長期計画」を発表。アニメ・キャラクター産業に、4年で総額3800億ウォンの支援を行うことを明らかにした。

 同機関のユン・テヨン文化コンテンツ産業室長は「『ポロロ』や『ロボカーポリー』などの事例でわかるように、私たちの業績は十分な潜在力を有している。政府は私たちの経済の革新と躍動性を引き出すために民間のアイデアを呼び覚ましていくと同時に、世界市場に出ていけるように、産業環境を積極的に作っていく」と発表した。

 しかし結局、韓国内で成功したアニメといえば、前述したように児童向けのものばかりであり、ジブリのように少どもから大人に向けた作品は極端に少ない。

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