サイゾーpremium  > 特集2  > アニメ業界の【マネタイズ】は限界!?
第2特集
ジブリ崩壊とアニメ業界再編【1】

本当に面白い国産アニメを見続けるために、我々は何をすべきか? ジブリ解散で考えるアニメ業界変化の波

+お気に入りに追加

――2014年は、ディズニーによる外国産アニメ映画が話題を呼んでいたが、今夏以降、日本のアニメでも注目作品が続々と公開される。一方で、残念ながら、一部の恵まれた作品以外は、良作であってもなかなかスポットが当たらず、コアなファンにしか届かないものも多い。本企画では、こうした業界が抱える問題を追いつつ、今観るべき、そしてこれから語り継ぐべき映画や監督をピックアップし、アニメ業界の新たな幕開けを見ていこう。

1507_anime_1.jpg
日本のアニメを世界レベルに押し上げた宮﨑駿。まだまだ元気でアニメを作って欲しい。

 2014年8月、スタジオジブリが映画制作部門の休止を発表した。理由のひとつは、宮﨑駿の引退表明によって劇場用作品の定期供給が難しくなったことと言われる。また、同スタジオがアニメ業界には珍しく正社員制を敷き、福利厚生を完備していたことで経営を圧迫したとも推察される。

 ジブリの事実上の解体は何をもたらすのか? ベテランアニメライターは「ジブリのアニメーターがフリーになって野に放たれる。いろいろな作品にジブリテイストが拡散されると思うと楽しみ」と興奮する。某スタジオのスタッフも、「作画の上手い人が流れてくる! と、各スタジオのテンションは上がるでしょうね」と前向き。ただ、「テレビシリーズをメインで回しているスタジオは、ジブリのアニメーターがもらっていた業界最高といわれる水準のギャラは出せないのでは」という業界筋の声も聞こえてくる。

 細田守監督による『バケモノの子』(7月公開)には、大森崇氏、高松洋平氏、西川洋一氏など、元ジブリのベテラン美術スタッフが参加している──という情報もあるなか、ジブリ遺伝子の拡散が業界のクリエティブを刺激することになるなら、実に楽しみだ。

 その『バケモノの子』を制作するスタジオ地図は、老舗アニメスタジオ・マッドハウスのプロデューサーだった齋藤優一郎氏が2011年に立ち上げた。齋藤氏は『時をかける少女』以来、一貫して細田守作品のプロデュースを手がけている。そのマッドハウスの、創業メンバーのひとりである丸山正雄氏が11年に設立したスタジオMAPPAも同様だ(こちらのインタビュー掲載・6月27日公開)。16年には、本誌5月号でインタビューした片渕須直監督の『この世界の片隅に』の公開が控える。

 このように、大手スタジオからスタッフが独立・移籍して小さなスタジオを設立する例が、ここ数年は目立つ。元ガイナックスのメンバーが設立したトリガー(『キルラキル』)、元ジブリの新井陽次郎監督が所属するスタジオコロリド(『台風のノルダ』)、元Production I.Gのメンバーが設立したWIT STUDIO(『進撃の巨人』)も、11~12年に相次いで誕生した。

 これにはいくつかの理由が考えられる。ひとつは「上が詰まっている」ため。熟練プロデューサーが在籍し続けていくことで、若手にチャンスが回ってこないのだ。一般企業でもよくある話である。

 また、所属プロデューサーが特定の作品や監督とだけ密に仕事をしたくなった場合に、組織を抜ける例もある。スタジオ地図の齋藤氏の場合も、細田氏とのマンツーマン体制を崩さないために、独立したと言われる。古巣のマッドハウスが11年2月に日本テレビ放送網によって子会社化され、テレビシリーズに注力した制作方針に移行したことも、影響しているだろう。

 こんなケースもある。「あるテレビシリーズが好評につき続編の企画が持ち上がったとします。しかしそれを制作していたAという会社が何らかの事情で続編を請けられなくなった場合、A社のプロデューサーが独立してBという会社を作り、続編制作を請けるんです。同じプロデューサーなのでクオリティは安定しますし、今後B社は古巣のA社から仕事を受注することもできるでしょう」(前出・スタジオスタッフ)

 巨人・ジブリが制作機能を休止した今、機能特化したマイクロスタジオが活躍の場を広げていくのかもしれない。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年2月号

“男性学”のススメ

“男性学”のススメ
    • 【男らしさ】イメージの変遷
    • 男性学(基)【ブックガイド】
    • 【キリスト教】の男性優位主義
    • 女子が萌える【ラップ男子】
    • コロナ禍で始動【Zoomgals】
    • サンドウィッチマン【男同士のケア】
    • 【青柳翔】が語る“男らしさ”
    • オトコが乗る【軽自動車】
    • 【マンガ・アニメ】の軽自動車
    • 【ジャニーズ】男性アイドル像
    • 時代錯誤な【ジェンダー観】
    • 【サザエさん】は有害か?
    • 『サザエさん』の【初回】
    • 【井田裕隆】に聞くAV男優像
    • ポルノ視聴と【男性性の劣化】の関係
    • おじさんの【フェイスブック】
    • 【フェイスブック運営】側とのズレ
    • 育児特化の【ベビーテック】
    • 5秒でわかる【ベビーテック】
    • 【自民党】に根付く男尊女卑

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ
    • 【篠崎こころ】召しませ #金髪ショー党

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【岡田結実】バラエティの人気者はエゴサで成果を感じる
    • 【STUTS】人気トラックメイカーがラップに初挑戦!
    • 【土井裕泰】TBSのエースディレクターの問題作に迫る

連載

    • 【あまつまりな】流れに身を任せちゃうんです。
    • 【グレイテスト・ラウンドガール】に新メンバー!
    • あの素晴らしい【恵美】をもう一度
    • 【コロナと不況】21年に生き残る術
    • 【萱野稔人】ソロ社会化とコミュニティの変化
    • ありがとう、【小松の親分さん】
    • ワクチンがつくる【コロナ後の世界】
    • 【丸屋九兵衛】ショーン・コネリーを語る
    • 【町山智浩】「ストレンジ・フィーリング」カトリックの洗脳とオナニー
    • 【コロナ対策論議】の根本的欠如
    • 「謎」と「静」で振り返る【2020年】
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【笹 公人】「念力事報」鬼狩りの時代
    • 【稲田豊史】「妻が口をきいてくれません」圧巻の“胸クソ”読後感
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 【本場仕込み】のビールが飲める“リビングルーム”
    • 【更科修一郎】幽霊、批評家は文化的背教者なのか。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』