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丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【19】

【ディアンジェロ】14年ぶりの黒い救世主!超寡作鬼才の挫折と復活

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『Black Messiah』

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ディアンジェロ(発売元:RCA)

「ほとんどスライ&ザ・ファミリー・ストーンやん!」「プリンスの80年代曲か?」とツッコミを入れたくなるほど偉人たち(ジミ・ヘンドリックスも)からの影響があらわでありながら、ディアンジェロという個性に埋め尽くされた密室のごときファンク・アルバム。難易度やや低めの曲を後半に固めた姿勢に意地を見た気がする。



 ロックの世界でザ・ビーチ・ボーイズの『Smile』が長らくそうだった(ある意味、今でもそうか)ように、ブラック・ミュージック界にも「世に出ていない傑作」や「伝説のお蔵入りアルバム」がいくつか存在する。

 例えば……ヘッドホンで儲けすぎて、「もはやアルバムを完成させる動機がない」ともささやかれているドクター・ドレーの次作『Detox』(02年から延期中)。仲が良いのか悪いのかわからないまま、活動ほぼ休止中のアンドレ3000とビッグ・ボーイのラップ・デュオ、アウトキャストが「ハードな10曲入り」と宣言した次作『Hard 10』(04年から延期中)。

 そして、R&B界が誇る孤高の天才、ディアンジェロの3作目『James River』。このタイトルが発表されたのは数年前だが、アルバムの録音は遅くとも02年には始まっていたはずだ。もっとも、去る12月に突如発売された彼の新作は、実際には派手派手しく『Black Messiah』(=黒い救世主)と題されていたが。

 なんにせよディアンジェロにとっては、00年の前作『Voodoo』から14年ぶり。インターバルの長さでは音楽史上最長級ではないか。

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