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第1特集
熾烈なアニメ版権ビジネス

当たるも出るもアニメ次第!?パチンコタイアップ機種の成否

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――パチンコ店に足を運べば、見渡す限りアニメとのタイアップを図った最新機種が並ぶ。誰もが知るメジャーなアニメから、局地的に知られるマニアックなアニメまで、ジャンルも多彩だ。「パチンコユーザーが減少」といわれる裏で、今、パチンコメーカーはアニメの“質”でしのぎを削る。

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(写真/cherry chill will)

 正義超人と悪魔超人の戦いに胸を熱くした『キン肉マン』、小栗旬主演で実写版も公開された『ルパン三世』、ラノベからアニメ化、果てには映画にまで行き着いた『涼宮ハルヒの憂鬱』、今も劇場版の新作が話題となる『新世紀エヴァンゲリオン』──ここに挙げたアニメに共通しているのは、熱狂的信者を持つ作品である点と、〈パチンコ〉である。昨今、パチンコ店にズラリと並ぶ筐体の約半数が、アニメとのタイアップ機といって過言でない。古くは『天才バカボン』(00年)から『ゲゲゲの鬼太郎』(00年)といった昭和を代表するアニメから、近年の作品では前述『新世紀エヴァンゲリオン』(04年)や『涼宮ハルヒの憂鬱』(14年)など、アニオタや若年層からも猛烈に支持を得るタイアップ機まで、恋愛からロボット、妖怪など、アニメのジャンルも多岐に渡る。中には、現役で活躍する豪華声優陣を起用した「完全自社オリジナル」で製作されたパチンコも存在するほど。これらがパチンコユーザーの間で話題となったのは、”本家顔負け”のクオリティを誇るからにほかならない。なぜ、こうまでしてパチンコ業界はアニメとのタイアップを図るのだろうか? 本稿では、「アニメ×パチンコの親和性」、そしてそのパチンコ台(遊技機)で繰り広げられる「アニメの質」について紐解いていきたい。

エヴァがもたらしたアニメ×パチの破壊力

 近年は、特にアニメとのタイアップ機の雨あられだ。そのブームを牽引したのが、04年に(パチンコ・パチスロの企画・製造を主な業務とする)ビスティが発表した『CR新世紀エヴァンゲリオン』と言われている。歴代の遊技機に触れてきた、パチンコ雑誌の元編集者に話を聞こう。

「エヴァが空前絶後のヒットを放つことができたのは、突然確変【編註:パチンコの当確確率がプレイ中に変動するシステム】というギャンブル性の高い射幸性だったと思います。しかし、アニメーションのクオリティも高く、もともとパチンコユーザーでエヴァ好きだった人間はもちろん、ギャンブル性とエヴァというコンテンツ性が相乗効果となり、アニメに無関心だったユーザーがエヴァンゲリオンを見始めた、という話は各所で耳にしました。エヴァは現在までシリーズが第8弾まで発表されていて、年末には新台となる9作目がパチンコ店に導入予定です」

 エヴァンゲリオンが全国のパチンコ店を席巻すると、遊技機を製造する各パチンコメーカーは、〈アニメとのタイアップ機〉に奔走。一時、パチンコメーカーはアーティストや映画、家庭用ゲームとのタイアップ機がメインであったが、エヴァの恩恵を受けてから、”アニメ版権ビジネス”は、パチンコ業界で加速度を増すことになる。

 本特集の冒頭「アニメ最新事情」でも記述した通り、アニメ版権を用いたパチンコ・パチスロの出荷高は増加の一途をたどっている。先日、シリーズ最新台がお目見えとなった、浜崎あゆみや倖田來未といったアーティストとのタイアップ機(坂本冬美や氷川きよしなど、年配ユーザーの年齢層を配慮した演歌歌手タイアップも多い)も人気だが、昨年発表された約100台にも及ぶ新台の4割がアニメとのタイアップ機という、凄まじい数字を叩き出しているほどだ。

 エヴァ以前のアニメタイアップ機といえば、版権を買い取ったら、既存のアニメーションを流用するだけの”お手軽台”が多かったが、昨今では版権を買い取り、遊技機のためのアニメーション製作が必須事項となっている。それが”コンテンツ性”で客足を伸ばす施策となっているからだ。主にパチンコ・パチスロマンガを手がけるマンガ家・カワサキカオリ氏は、そのコンテンツ性がきっかけとなり、原作へも手を伸ばしたと話す。

「3年ほど前、原作もアニメの存在も知らずに『CR地獄少女』(藤商事)を打ってみたんですが、アニメーションのクオリティが非常に高く、色鮮やかな蝶々の役物【編註:遊技を盛り上げるために備え付けられた独自の仕掛け】もきれいで、それがきっかけでオリジナルのアニメを見るまでに至りました。でも本当は、私が二次元の男性にときめくこともあり、登場人物の一目連に一目惚れしたから、というのが大きな要因なんですけど……(笑)。藤商事さんはアニメの採用の仕方が上手だなと感じますね」

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