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【特別企画】嫌煙ブームに物申す!【2】

タバコ1箱1000円のカラクリ タバコを狙い撃ちにした増税に見える問題点

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――たばこ税が議論されると、必ずといっていいほど欧米との比較がなされている。だが、そこには各国の税収をめぐる構造の差異があるというが……。

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タバコ規制をめぐる法と政策(日本評論社)

 タバコ規制の問題とも絡みながら、たびたび議論を巻き起こしているのが、「たばこ税」に関する問題だ。1998年にたばこ特別税が導入されて以降、2003年、06年、10年と複数回にわたって増税が行われている。「税金を取りやすいところから取る」かのような増税には批判も集まっているほか、厚生労働省が増税の目的を「国民の健康の観点からタバコの消費を抑制するため」と説明していることも議論を呼んでいる。

 税理士・法学者の浦野広明氏は「タバコの健康面へのリスクの有無は置いておいても、応能負担の観点から見て、日本のたばこ税には問題がある」と話す。

「庶民の嗜好品であるタバコに、一律に高い税率をかけるのは庶民に対する"いじめ"でしょう。租税は各人の能力に応じて平等に負担されるべき……という応能負担原則から考えると、本来であれば値段の高いものには高い税率、低いものには低い税率をかけるべきなんです」

 そのような応能負担原則に基づき、等級制を採って安価帯のタバコを用意している国や、紙巻きタバコに対して手巻き用の刻みタバコの税額を低く設定している国もある。税率の高さなどからタバコが一箱1000円するようなイギリスと比較して、「日本のたばこ税はまだ低い」と言われることもあるが、一概にそうとも言い切れない部分もあるわけだ。JTも09年にたばこ税増税に対する意見として、「各国のタバコの価格は、税構造や物価などが全く異なる環境下で決められて」いるとし、「単純に諸外国と比較をし、日本の価格が安いという議論は、適切ではないと考えます」との見解を発表している。

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