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第1特集
歴代ジャニーズの名作をディグる【1】

【西寺郷太】少年隊は日本が誇る世界標準のグループ!「ABC」世界で一番素晴らしい曲です。

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――「しょせん、野郎アイドルの曲だし」と、世の同性からは煙たがられる傾向にあるジャニーズ所属アーティストの楽曲。しかし、そこにはジャニーズのアンテナの高さも見え隠れ。時代の最先端を走るアイドル性と音楽性を、刮目せよ!

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(絵/小笠原徹)

 パフォーマーありきで、ダンスミュージックに特化したEXILEの楽曲に対し、ジャニーズ所属アーティストは極上のポップスで勝負を挑んでいる――というのが、世の中の一般的認識かと思うが、さかのぼること約40年前、ジャニーズよりデビューを果たした郷ひろみから始まった「ジャニーズとブラックミュージックの蜜月」は、実は、音楽好きの間では有名な話である。

 SMAPの代表作「ダイナマイト」ではハウス・ミュージックのビートが採用され、V6は所属レーベルのエイベックスにならい、ユーロビートの楽曲でデビューを飾り、嵐やKAT-TUNの楽曲には積極的にラップが組み込まれる。昨年末に発売されたHey!Say! JUMPのシングル「Ride With Me」ではダブステップが採用されるなど、何気にジャニーズはブラックミュージック~ダンスミュージックとして機能する楽曲の宝庫なのだ。そのほかにも時代の潮流を見逃さず、ディスコやテクノ、EDM、果てにはソウルミュージックへのオマージュまでもやってのけてしまう。昨今、CD売り上げランキングの常連組であるジャニーズとEXILE軍団だが、ここでは、普段ダンスミュージックとして語られることのないジャニーズ歴代アーティストの楽曲に目を向けてみたい。
 
 V6や少年隊への楽曲提供でも知られ、NONA REEVESのボーカリストとして活躍する西寺郷太。ダンスフロアをロックし続けるクラブミュージック界の女帝、DJ KAORI。並々ならぬ音楽知識でジャニーズ楽曲をコアに分析する芸人、大谷ノブ彦(ダイノジ)。そして、DJとしても活動し、殿方の心と股間を躍らせてくれるAV女優の横山美雪の4名に、バツグンの5作を選んでもらった。

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西寺郷太
(にしでら・ごうた)1973年、東京都生まれ。NONA REEVESのボーカリストとして活動するかたわら、DJやプロデューサーとしても活躍。著書『噂のメロディ・メイカー』(扶桑社)が発売されたばかり。

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 ジャニーズとの出会いは小学校時代の『ザ・ベストテン』(TBS)。当時から男性ソロアーティスト/グループの歌が好きで、最初に購入したシングルは近藤真彦さんと田原俊彦さんでした。ジャニーズの楽曲は広義でダンスミュージックと呼ばれますが、僕は「シンガーやパフォーマーがダンスをするための音楽」だと思っています。ジャニー喜多川さんは「CDを作る」という観点からではなく、コンサートやショーを作り上げることに重きを置いている。エンターテインメントとして、演者たちが歌い踊り楽しませる、という美学です。その極みが嵐のデビュー曲「A・RA・SHI」【1】。これはプリンスが映画『バットマン』のために書き下ろした楽曲「Batdance」の日本版ともいえる映像的でマッドな楽曲で、発売当時大野(智)君のボーカルに感動しました。

 また、最初の衝撃がたのきんトリオでもあったので、田原俊彦さんの楽曲から選ぶと「ブギ浮ぎI LOVE YOU」【2】。田原さんといえば「抱きしめてTONIGHT」も避けては通れませんが、この曲はイントロからAメロ/Bメロ/サビのどれもがキャッチーで、すべてが美メロというポップソングの完成形。作曲を担当した筒美京平さんが手がけた80年代後半の楽曲は神懸かっているものばかりです。田原さんの声質、歌手としての魅力は、後の渋谷系にも通じる革命的なものです。

 ジャニーズ史の枠を越えて完全にノックアウトされた作品は、少年隊の「ABC」【3】。歌詞、メロディ、アレンジ、ボーカルの瑞々しさ。10年ほど前、宇多丸さん(ライムスター)と「世界で一番素晴らしい曲」と意見が一致しました(笑)。YouTubeなどで当時の映像を見返してみても、まったく色褪せていない。それどころかメンバーのバク転を取り入れたアクロバティックな動きと、高いスキルで歌い上げるスタイルは、海外に目を向けてみても、同じことを同レベルでやれているグループは現在まで存在しません。日本が誇る世界標準の曲、グループです。

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