サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 格差拡大で【右翼】が湧く!? 財政とナショナリズムの共犯関係 【嫌韓・嫌中】で週刊誌は売れるのか?
第1特集
財政とナショナリズムの共犯関係【1】

格差拡大で右翼が湧く!? 財政と愛国心の共犯関係

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――経済政策が低迷し民衆が富の再配分を求める時期に来ると、ナショナリズムが沸き起こる、という説がある。週刊誌が嫌韓・嫌中ネタで騒いでいる中で、今本当に見るべき日本の状況とは?

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(イラスト/HELLSLAUGHTER)

各国とも格差は拡大中でも……
数字で見る日中韓の経済状況比較

――財政とナショナリズムの関係性を見る前に、日中韓三国の経済状況を数字で把握しておこう。

■中国――GDP世界第2位…はホントの数字?
目覚ましい発展を遂げているようだが、貧困率など都合の悪い数字はだしていない。

【GDP成長率】7.54%
【高齢化の推移】16%
【貧困率】7%※ここのみ米調査会社ギャラップ社の算出による。
【対GDP比政府総債務残高】22.4%(174位)

■日本――実は超高貧困率国家!
やばいのは借金だけじゃない! 貧困率も圧倒的に高く国内格差は進む一方。

【GDP成長率】1.35%
【高齢化の推移】32%
【貧困率】16.0%
【対GDP比政府総債務残高】243.2%(1位)

■韓国――経済成長は止まった!?
一見すると平均的な数字の韓国。だが、すべてが日本の後を追うように推移しており……。

【GDP成長率】3.71%
【高齢化の推移】23%
【貧困率】14.9%
【対GDP比政府総債務残高】36.7%(104位)

※GDP成長率(2014)
高齢化の推移予測(翻って労働人口の減少を指す+福祉に対する財政投入の増加)
貧困率(相対的貧困率)※OECD (2014) Family database“Child poverty”所得中央値の一定割合(50%が一般的。いわゆる「貧困線」)を下回る所得しか得ていない者の割合。※OECD平均 11.3%
対GDP比政府総債務残高 ランキング

 日本でナショナリズムが高まっている。

 内閣府が実施した愛国心調査では、「愛国心が非常に強い」「どちらかと言えば強い」と答えた回答者が55・3%となった(過去最高は13年の58%)。また、その結果を受けてインターネットニュースサイト「THE PAGE」では「20代では40%前後。もっとも00年の調査では、愛国心が高いと答えた人の割合は20%台前半」だったと、若者層の愛国心の高まりを分析している。

 またここ最近の、中韓との外交摩擦への反応や、“嫌韓・嫌中”ブームからも、日本のナショナリズムの高まりをうかがえる。13年11月に行われた内閣府の調査発表によると、「中国に親しみを感じない」と答えた回答者が全体の80%を超えたそうだ。同様の調査は韓国に関しても行われているが、ここ2~3年の間に約60%台まで急上昇している。

 外国人に親しみを感じないという調査が、ナショナリズムの高まりを指し示すものでは決してない。ただし、移民排斥を謳う在特会や、ほとんど罵倒に近い“嫌韓・嫌中”報道が一定の影響力を持ち、「美しい国」「強い日本」を目指すと標榜する安倍政権が高い支持率をキープしている社会的雰囲気と併せて考えてみると、日本および日本人の実益を優先したナショナリズムが高まっていることは否定できないだろう。

 国民としての誇りや安心感、連帯感を鼓舞する一方、外部とは摩擦を高めることもあるナショナリズム。そもそも、ナショナリズムが高まる原因は何か?

 国際社会に目を向けてみると、ナショナリズムの高まりは日本に限った現象ではないことがわかる。日本と外交的対立が激化している中国や韓国、そして欧米やロシアでも軌を一にしているのだ。

 例えば14年5月27日付のウォール・ストリート・ジャーナルの日本版は「強まるナショナリズム、世界の混乱要因-西欧で極右政党躍進」という記事を配信した。

「過去10年間にわたって過激なイスラム主義が世界的な悩みの種だった。過激なナショナリズムが今後10年間の世界の悩みの種になるのだろうか」という書き出しで始まる同記事は、欧州議会選挙でマリーヌ・ルペン率いるフランスの極右政党・国民戦線をはじめ、ギリシャ、デンマーク、イギリスでナショナリスト政党が躍進したと報じた。同時に、ロシア、日本、中国、ベトナムにおけるナショナリズムの高まりに警鐘を鳴らす。

「世界中で高まるナショナリズムの要因のひとつに、グローバル化に伴う格差拡大がある」とは、よく言われる話だが、実際にはどうなのか、改めて検証してみよう。

日中韓だけじゃない世界で起こる格差デモ

「グローバル化とはモノ、ヒト、カネが国境を越えながら流通するプロセス。同時に社会的、文化的な均質化がもたらされる現象だと一般的に知られています。一見、外国人や他者との差異を強調するナショナリズムとは正反対の社会現象のように思えますが、グローバル化が起こす作用については、うまくイメージされにくい」と指摘するのは、グローバル化とヨーロッパのナショナリズムに詳しい、日本経済大学の安井裕司教授だ。

「現在のグローバル化は、以前から語られてきた“国際化”というレベルの現象ではありません。我々の経済活動や消費活動が、世界中の国境や規制を突き破り、ものすごい勢いで拡大、つながっていく現象です。よく欧米発の経済システムであるという理解がありますが、実際は先進国もグローバル化をコントロールできていません。世界一の経済大国である米国ですら例外ではなく、国家としては財政政策に苦しんでいるのが現状です。そのグローバル化のひとつの特徴として、途上国が先進国化し、先進国との国単位での格差は小さくなっていく傾向があります。同時に、各国内部では貧富の格差が拡大する現象が起きます」

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