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【premium限定連載】出版界 ホンネとウソとウラ話 第8裏話

「小悪魔ageha」のインフォレスト社長が雲隠れ! 家賃未払いや刑事告発の可能性と倒産全内幕

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 キャバ嬢のバイブルと呼ばれた『小悪魔ageha』を発行する出版社・インフォレストが4月15日に突如、事業を停止した。4月16日の帝国データバンクの一報を聞きつけ、筆者は、同社のオフィスがある東京・麹町の麹町シルクビルを訪れてみた。だが、エレベーターに乗り同社が入る5~7階のボタンを押したが、反応せず、フロアはひっそりと静まり返っていた。

 なぜ、インフォレストは事業停止(事実上の倒産)してしまったのか。関係者に話を聞くことができた。その直接のきっかけは奇しくも、その麹町シルクビルのオーナーにあったようだ。

 今年4月頭、ビルオーナーが大手取次会社2社の売掛金と主要バンクの一つ、みずほ銀行の口座を仮差し押えしたというのだ。インフォレストが家賃の支払いを停止し、そのビルオーナーとは昨年12月から賃貸借契約を巡って、裁判沙汰にすらなっていたという。だが、内部事情を知る関係者は「未払い賃料は一千数百万円程度。売上高約50億円の会社からすると、たいした額ではない。また係争案件になっていたので、『強引な差し押さえはない』と泉智社長は高をくくっていたのでしょう」と語る。

 とはいえ、これが蟻の一穴だった。数億円の預金がある銀行口座が凍結されたため、発行した書籍・雑誌に関する印刷会社への支払いができなくなった。やむを得ず、同社は手形のジャンプ(延期)を要請した。それが経営危機の情報として印刷・金融業界を駆け巡り、凸版印刷ほか金融関係2社が取次会社の売掛金等の差し押さえに走った。

 その間、およそ1週間。

 インフォレストは銀行口座が凍結され、取次からの入金も3月支払い分からストップ。4月11日には、数日後の15日に不渡りが出てしまうことが判明した。その時、同社泉社長は、従業員の解雇と事業停止を決断したという。

 しかし、肝心の泉社長が15日の社員説明の場に現れず、経理担当者に解雇・事業停止等の説明を一任。しかも、経理担当者は、弁護士に破産申請手続き(法的整理)をする費用がないため自己破産申請はしないと伝えたようだ。債権者の数は1000者弱にものぼり、負債総額も40億円弱にも膨らんでいるにも関わらずである。私的整理をするにも債権者の数が多すぎるうえ、債権者に対する説明会すらいまだ開いていない。泉社長は自宅に帰っておらず、姿を消したままだ。

「経理担当者は、泉社長と電話で連絡できるようですが、債権者説明会のような公の場には出てこないでしょうね。資金繰りの一端を担っていた通販工房が破たんしたことが影響していると考えられる。通販工房は3月20日付で東京地裁から破産手続き開始決定を受けて、整理に入っています。その前社長の大城龍也氏が違法に資金をねん出してインフォレストに注入していたため、債務超過に陥り、自己破産を申請しました。その片棒を担いだ泉社長にも当然責任が問われることになる。通販工房の破産管財人次第ですが、刑事告発となれば、司直の手が泉社長にも伸びてくる可能性も考えられます。その件を追求されるのを恐れて、人前には出てこないのでしょう」(前出関係者)

 別の関係者は言う。

「その件も含めて、あまりに資金の流れが不透明なんです。通販工房の違法行為による負債は12億円といわれています。その金がインフォレスト側に入ってきちんと使われたかは誰も分かりません。また、パズル誌部門を株式会社イードに事業譲渡しています。さらに男性誌『samurai ELO』も三栄書房に、『女子カメラ』もミツバチワークスに売っているんです。その売却益はどこへいってしまったのか、社員は誰も把握していないんです」

 インフォレストの資金繰りを担っていた通販工房。この会社との関係を説明する前に、泉社長体制へ移行するまでのインフォレストの数奇な運命をみていきたい。

 40代以上には懐かしい「デラべっぴん」というエロ本を出版する英知出版が2002年にエロ本以外の雑誌部門を会社分割。当時、英知出版の親会社であったゼィープラス(現セブンシーズホールディングス=セブン社)の100%子会社としてインフォレストが設立された。ちなみに、親会社の英知出版は転々と売り渡され、結局07年に倒産した。

 一方、独立したインフォレストは08年の「小悪魔ageha」の大ブレイク、男性誌「samurai magazine」や「samurai ELO」、ニッチなターゲットを狙った「Happie nuts」「I LOVE mama」といった雑誌が好調で業績を伸ばし、09年3月期決算には過去最高の売上高約75億円をたたき出していた。しかし、そこがピークだった。

 10年3月にセブン社は、メディア・IT・マーケティングといった全事業の不振(2010年3月期は赤字決算)を理由に、インフォレストをカラーズインターナショナル(カラーズ社)に売却した。このカラーズ社は、通販工房の親会社・キヤノン電子から出資を得ている会社だ。そこから、社長ほか役員数人が送り込まれてきた。そのなかに泉社長もいた。

「初代の社長は1週間でいなくなって、2代目の稲葉文明社長は売却先を懸命に探していましたね。出版社を経営するという感じではなかったです。ぶんか社ほか、多くの版元に媒体ごとに売却交渉をしていたようですが、提示額が高すぎて、一つも交渉は成立しませんでしたね」(別の関係者)

 その後、稲葉社長は退任して泉氏が3代目社長に就任した。

「会社の売却を諦めて、泉社長が出版業を建て直すという話になったようです。しかし、インフォレストの財務状況は決して良いとはいえません。セブン社から買い取った時点で、10億円もの負債を抱えていたようですから。しかも、09年3月期をピークに売上・利益が一気に低迷していきました。まさにババを掴まされた感じです。負債の返却と雑誌の販売・広告収入の落ち込みで、12年3月期は売上高が40億円にまで落ち、数億円あった現・預金も数千万円にまで減少しました。台所事情はかなり厳しかったようです」

 泉氏は社長就任後、2010年11月の本社ビル売却や人員整理、同年12月のエーギアホールディングス(エーギア社)との業務・資本提携による資金調達(発行済み株式の34%をエーギア社が取得)などの事業再建を進めた。

 そのなかでも資金調達が泉社長の重要な役目だったようだ。というのも、08年以降の貸借対照表をみると、長期借入がゼロもしくは数千万円程度しかなかった。銀行からの信用が薄かったからだ。一方、短期借入は少ないときで約11億円、多い時では20億円にも膨らんでいた。売上・利益が減少していくなか、負債を返済しながら運転資金をねん出するのは、短期借入だけでは難しい。

 同社の財務状況が苦しかったことを示すほかの話もある。同社の8割もの印刷を引き受けていた凸版印刷との取引が減り、大日本印刷や共同印刷、共立印刷など多くの印刷会社へ仕事を回すようになった。

「親会社が代わった後に、凸版サイドの取引信用上限に達していたため、これ以上の仕事を引き受けてもらえなかったようです。しかも、日付が無記入の債権譲渡証明書までも凸版に提出していたと聞きました。そこまで財務が悪化していたと、みるべきでしょう」(印刷会社の関係者)

 そこで、件の通販工房に話が繋がる。

「泉社長と大城社長との関係までは分かりませんが、インフォレストの幹部会に大城社長は出席していましたし、キヤノン電子の社員も一時期、インフォレストに来ていました。カラーズ社の出資社であるキヤノン電子を頼って、今回の違法融資に至ったと考えるのが普通です。それに、大城社長の独断ではなく、キヤノン電子のその社員も知っていたはずです。ただ、インフォレストを利用して通販工房から引き出した金が本当はどこに行ったか、当の本人たちにしか分かりません」(前出の関係者)

「俺が出資者を見つけてお前たちの給料を支払ってやっている」――泉社長はそんな不遜な態度をとる人物だったという。その程度だから、経営者の責任すら全うしようとしないのだろう。なぜ、金銭を理由に法的整理をしないのか。パトロン探しは得意だったのではないのか。泉社長は一刻も早く、債権者説明会を開き、公の前で事情を説明すべきである。

(文=佐伯雄大)


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